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  • 社会運賃についての記事は夜中に投稿したにもかかわらず、翌朝にはすでに300人以上の方が閲覧済みで、大きな反響がありました。今日はその社会運賃を適用した都市公共交通を運営する、CTS (ストラスブールの都市交通運営事業体・ストラスブール交通公社)について述べたい。日本では軌道運送高度化事業により上下分離が可能になったが、鉄道がオープンアクセスである欧州ではもともと【上下分離】という表現はない。フランスの自治体の9%が自らの交通局で運営するIn house経営を行っており、一方3%がPPP事業で民設・民営を選択した。(この場合でも自治体は交通税を投与することにより初期投資に参加)https://www.fujii.fr/?cat=42   (ランス市のケースを取り上げています)。そして、都市交通経営に関していえば大半の自治体が【公設・公有+民託・民営】の形を取っている。
  • ストラスブール市では第3セクターを設けた。社長は民間人で一般会社法に従った事業体なので形としては私企業だが、取締役会の会長は市長で、そのほかの理事たちもCUS(ストラスブール都市共同体)に属する自治体の首長が任命されているので、日本で言えば第3セクと理解して差し支えないだろう。何よりもその株主構成が明確に示している。

  • 1990年にこの会社CTSとストラスブール都市共同体CUSは30年間のコンセッションとよばれる【自治体業務の民間企業への委託契約】を交わした。(現在は、自治体の都市交通事業委託のフランスの平均契約年数は8年)。  ストラスブール都市共同体との最初の契約が1990年だから、それ以降路線が延長されるたびに、契約の附則条項を付け足してきた。第2路線が始まった時には、第2路線のインフラ整備や軌道運送の業務に関する附則契約をどんどん追加してきた。(写真左・CTSオフィスの正面玄関。1931年からストラスブール市で都市交通を運営してきた)
  • この契約に沿って、CUSからCTSに支払われる補填額が【都市交通の走行距離X運賃】をベースに決められる。しかしCTSには先に述べた社会運賃額の決定権がない。           https://www.fujii.fr/?p=2840 頁参照。 社会運賃は、行政が決定する。そしてすでに説明したように、切符収入は財源の23%しか占めないので、不足分は公金で補っている。
  • CTSの2012年度年次報告書の数字を見てみよう。475000人の人口に対して、年間1億1400万のトリップ、一人当たりが実に年間240回都市交通を利用している。 1日あたり40万トリップがあり、2009から2012年の間に20%利用者が増えている。 このうち定期券所有者が25%。CTSは1500人の従業員をかかえ(運転手が多い。週労働時間35時間のため、5シフト)、94本のLRTが570万KM, 249台のバスが1040万KMを年間走行させる大企業だ。(続く)

CTS正面玄関・車庫から出るLRT

整然と並ぶLRT車庫。日本と異なりすべて屋内で待機

広大な敷地内を職員は自転車で移動・右手はバス車庫・後方の丸い建物は交通管制総合制御室


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