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ナントの総合的交通政策 3

10 02 2015 | Actualités ブログ記事, Bus BRT バス, Nantes ナント

  • ナントのBRT           さて、ナントでは都心部から南に伸びる第4の都市交通路線には、LRTではなくてBRTを採用した。CEREMAの欧州各国のBRT比較調査によれば、ナントの”BUS WAY”と名付けられたBRTには、98%の定時性が確保されており、大変パフォーマンスが高いと評価されている。

  • 7Kmの距離に15の駅があり、車体はメルセデスベンツのCITARO【37座席、113立ちスペース、車椅子スペース2、Natural Gaz運行】。ルーアンのような光学読み取りシステム 【https://www.fujii.fr/?p=3602 】などの搭載は無い。全くの運転手の力量のみで停留所に車体を寄せる。プラットフォームは高くなっている
  • 1900年代後半にはこの路線の利用見込みは一日18000人であったので、トラムでは供給可能だと判断されたのだが、今となっては一日のトリップが35000人に達しており【現在17.94Mの車体だが、将来は24.5Mタイプの導入が検討されている】、「最初からトラムにしておけば、交通結節点を複数設けて、もっと思い切った都市交通の見直しができたのではないか」、という意見があることも事実だ。もしそうなっていれば、「現在のストラスブールのトラム路線のように!、東西南北をきっちりとつなぎ、中央駅へのアクセスがトラムの乗り換えだけでできるようになっていただろう」と。又「「ナント中ノ島」と呼ばれる中州の開発も違って形を取っていただろう」と。
  • 専用レーンの技術的な分類はルーアン市で述べたの【https://www.fujii.fr/?p=3617】で、ここでは専用レーンの外的効果(まちづくりに対して)、及び内的効果【受益者に対して】を見たい。環境に対しては、専用レーン整備は「道路空間の見直し、つまりまちの景観全体の再構成」につながり、大気汚染の減少も期待できる。バスそのもの内的サービスとしては、専用レーンは定時性、速達性を保障する「パフォーマンスの高い乗り物」のイメージを利用者に与える。バスサービスのレベルは運行業者からみれば、「運行頻度、収容キャパシティー、幅広い運行時間帯」、利用者側からみれば「定時性、車内の清潔さ」などが最低限のサービスとして要求され、これに当然「安全性、快適性、バリアフリー、十分な運行情報の提供」などがBRTの条件として挙げられる。その意味ではナントのBRTは、インフラ【定時性、速達性を確保する専用レーン】、車体【バリアフリー、快適性】、運行サービス【運行頻度、時間帯、情報提供、信用乗車】のどれをとってもBRTの王道といえる。

    中央にグリーンレーン・その両横がBRT専用レーン・停留所も設けている分離帯の外側が一般車レーンという贅沢な設計

    しかもKM当たり1500万ユーロをかけており、これはナント市のトラム延長路線1の1200万ユーロよりも高コストだ。だから前述したように「すでに存在していたトラム路線を延長すべきだった」、という意見もある。しかし、予算をかけただけあって、ナントのBUSWAYの専用レーンは素晴らしい。元来高速道路から直接都心にアクセスするために作られた幹線道路を、専用レーン化したので大変贅沢なつくりになっている。ちなみにこの道路の車通過量はBRT開通後半分になったそうだ(現在1日あたり25000台)

    • ナントの路線バス    さて、BRTのほかにナントが今一番力を入れているのがクロノバス【フランス語ではクロノCHRONOはストップウオッチの略称で、通常「速い」という意味で形容詞的に使われる】。ルーアンでは「FAST」と名前がつけられていたが、同じように普通の路線サービス内容をグレードアップさせた、つまり「BRT予備軍のようなバス路線」の充実化している。5分から8分間隔で運転し、運行時間が5時から24時30分までと大きく車体中心にアッピール。かつてはフランスの地方都市のバスサービスは夜8時で終わりだったことを考えると隔世の感がある。

  • すべて紫カラーでイメージを統一させ、125台のバスを投与して70Kmを走らせ、バス利用者の便宜を図っている。一日あたりのトリップ数75000を見込んでおり、この路線バスのグレードアップ化に7000万ユーロを投与している。BUSWAYほどではないけれど、できるだけ専用レーン化を図り【70Kmのうち32Kmが専用レーン】、すべての十字路における優先信号の適用、停留所では後方車のバス追い抜き禁止策(分離帯を整備する)、運行情報提供の充実化につとめ(パネルに運行状況を提示)、地元メディアを通じて大々的な利用促進キャンペーンも行っている。つまりルーアンと同じく、「出来るところから行う」、という現実的な方策が取られていることが興味深い。また乗り換え案内も非常に分かりやすく標示されている。実はナントには交通結節点の教科書のような中継駅が2箇所ある【続く】

前の表情は全く普通のバス( CHRONO BUS と名称を表記。 普通のバスやBRTの名称 BUSWAYと識別化している) だが、中は広々とした連接バスですべてバリアフリー車床。

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