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  • フランスを少し離れて番外編その1、イタリア、ベニスから西へ鉄道で20分の位置にあるパドバ市には、フランスLOHR社 のゴムタイヤLRTが、25の駅、10.3Kmの路線を2007年から運行している。
  •  ロール社(http://lohr.fr/fr/le-groupe-lohr/)のトラム部門は2012年に、アルストム社に買収され、New Translohr (NewTL)社が、 トランスロール(正式にはNTL Translohr) のネーミングで市場展開している。
  • 自転車と並走するゴムタイヤLRT

    自転車と並走するゴムタイヤLRT

トラム軌道の状態

トラム軌道の状態

    • フランスのナンシーやカーンで運行している、ボンバルディエ社のゴムタイヤトラムとは異なり、トランスロールは常に鉄軌道上を運行する。
    • ボンバルディエ社のトラムは、「トラム」と呼ばれているが、むしろ「トロリーバス」だ。フランスでは道路法に拠り運行されるバスで、無軌道運転も可能で、車体には車の登録番号があり、サイドミラーがある。また運転席も車輌編成の一方向にしか設けられていない。だから一種のBRTであり、トラム( LRT)ではない。このナンシーで走行するゴムタイヤTVR(専用軌道交通という意味)については、以下の頁で詳しく説明している。https://www.fujii.fr/?p=3784&lang=ja https://www.fujii.fr/?p=3807&lang=ja
ナンシーのボンバルディエ社、TVR

ナンシー市を走行するボンバルディエ社のゴムタイヤTVR (専用軌道交通の意味)

  • トランスロールも道路上をゴムタイヤで走るために、ガイド付きバスのようにも見えるが、こちらはあくまでもレール軌道上のみ走行するLRTである。現在、中国の上海、フランスではパリ、クレルモン・フェランでも走行しているが、パドバ市では架線レス走行区をバッテリー運転で走らせている。
旧市街地の景観が美しいところは、架線レス運転になる。

旧市街地の景観が美しい広場付近では、架線レス運転になる。

  • トランスロールには13%の登攀性がある(鉄輪トラムは約10%)。 重量は、上記のボンバルディエ社のTVR(専用軌道交通と名付けられているゴムタイヤBRT)より軽いので、道路への負荷もわだち掘れも、より少ないとされている。また車体幅が2.2Mと狭いので、道路が狭いリスボンやなどでも利用されている。トランスロールタイプの軌道整備インフラコストは、鉄輪車輌の軌道整備より25%安いとされる。
  • しかし、トランスロールを一旦導入すると、新しく車輌を増加する折に、他社メーカー製品を検討することができない。たとえばストラスブール市のように、ボンバルディエ社製からアルストム社製に、ナント市のように、アルストム、CAF,シーメンスと、様ざまな車輌を利用することは不可能になる。
  • 車輌コストのみで、導入する交通手段を決定できないし、あらゆる要素を考慮する必要があることを大前提として踏まえた上で、車輌コストを比較した。2010年パリRATP(地下鉄公団)が、252乗客(そのうち60が座席)のトランスロール車輌、28編成を1億4100万ユーロで購入した。同じ年に、ツール市が 291乗客(座席は85)のアルストム社のシタディス(ストラスブール市など多くの都市が購入しているタイプ)を、3200万ユーロで21編成購入した。トランスロール車輌は、乗客一人当たりについて約67%割高になっている。(典拠・ Ville Rail et Transports
  • 都市整備への貢献の観点からは、トランスロールはタイヤ走行部分を軌道に残す必要があるので、鉄軌道のような全面的な軌道緑化は困難になる。
  • パドバのトランスロールの内部

    パドバのトランスロールの内部

しかし技術的なことは別として、パドバは、人口21万人の小さな自治体だ。それでもバスとトラムの公共交通ネットワークが機能しており、夜間も頻繁に走行していた事実が大切だろう。フランスと同じく、チケット料金も安く設定されていた。

非常に『芸術的なチケット」1.3ユーロで75分間、バスとLRT乗り放題

非常に『芸術的なチケット」1.3ユーロで75分間、バスとLRT乗り放題。フランスのチケットは機能的なデザインが多いので、この美しい色合いに驚いた。

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小さな自治体でも、ベニスに近く、歴史・文化遺産が豊富なことから、観光客も多い。夏の宵には、あちらこちらにある広場でコンサートも開かれる。

1222年に既にパドバ大学が創設された、歴史のある情緒豊かな都心。小さな自治体だが、ベニスに近く、歴史・文化遺産が豊富で、観光客も多い。夏の宵には、都心の広場で大小さまざまなコンサートも開かれる。

夜の賑わい

夜の賑わい。気温の暑いイタリアの夏は、夜の10時から人がまちに出てくる。

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