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  • 景観とトラム

ニースのトラムはフランスのトラム百科事典・ATLAS du Tramway(2011年出版)の表紙に選ばれたくらい美しい。なぜ数多い都市のそれぞれが特徴を持ったトラムの中でもニースが選ばれたか?それは思い切った景観重視のまちづくりを、トラム導入と共に施行したことにもよるだろう。立派な歴史建築物には恵まれているので、効果も素晴らしい。

昼間のマセナ広場。広場の向こうは地中海

ニースのトラムは主だったフランスの地方都市がトラムを導入してから、やや後追いする時期に登場した。29の都市でトラムが走るフランスで、ニース市のトラムを一躍有名にしたのは、マセナ広場の走行方法。広場の景観を尊重するため電気架線は設備できないので、パンタグラフをたたんでニッケル水素のバッテリーで走る。1Kmに満たない距離間だけだが、この架線がなく、美しい広場を走るトラムの姿は正にまちを水平に動くエレベーター。はっと息を飲む美しさがある。本当に、たかが都市交通といえ、フランス人は思い切ったことをやる。

しかも、広場にはトラム軌道の両横に、白いアクリルで出来た人の座る彫像を、高い位置に配置した。夜にはそれぞれ広場を見下ろす座った人が色を変える。アーティスト・Jaume Plensa(スペイン出身)の説明によるとこの7つの人は、地球の7つの大陸を示唆すると。フランスの夏の夜は10時くらいまで明るく、群青色の空にアクリルのピンクやイエローが映える。『ニースの会話』と名付けられたこのアート。広場の足元も凝っている。中国の玄武岩のグレイと、ポルトガルの石灰岩の紺青色を組み合わせた格子模様。

ニース市住民へのアンケートで85%が、「今行政に一番着手してほしいことは、トラム第二路線工事の着手」と答えた。現在、国際空港まで伸びるT2路線工事(13.2Km)の合意形成の真っ最中。一区間は地下通行も予定されているが、世界に名だたるコートダジュール(紺碧海岸)の海辺に、トラムが颯爽と走る景観が見られるのもそう遠いことではない。(運行予定2015年)

夜のマセナ広場 http://flickr.com/photos/9797412@N08/2104370086

 

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