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Questions at OKINAWA Prefecture2

質問2・公共交通を新たに導入するにあたって、用地買収の問題はなかったのか?

今日は時間の都合で、合意形成や事前協議のプロセスの説明ができなかったので、ちょうどそこを突かれました。実はこれは日本の方からよくある質問です。

公共事業施行の場合、フランスの合意形成には長いプロセスが法律で定められていて、10Kmくらいのトラム路線敷設計画でも2年くらいはかけている。

計画立案―公法人への意見徴収ー市民への事前協議―プロジェクト案策定ー公的審査―交通当局の合議機関の承認。 (詳細は『ストラスブールのまちづくり』81ページを参照してください) こうして丁寧に一般市民の声をすくい上げてから、事業主体である交通当局は最終的な計画案を定し、都市共同体評議会での最終承認にかける。計画内容が法律に抵触していないかどうかをチェックする事後監督権をもつ知事(フランスでは県知事は官選)が『計画が公益に見合う』と判断すれば、いわゆるDUP『公益宣言』が発令される。

フランス民法545条で、『公益のために適格な補填金を伴った譲渡の場合を除いては、いかなる私有地も没収されることはない』とある。 つまり、逆にDUPは公益事業実現を目的とした、私有地没収を可能にする政令だといえる。DUPが発令されると、工事が始まる。

だからこそ逆に、このDUPPまでのプロセスは法律で厳しく決められており、コンセルタシオンと呼ばれる事前協議が非常に重要視されている。

また今日は駐車場の問題も取り上げました。民営駐車場が多い都市でも、もし、都心に公共交通が導入されて、駐車場の利用者が少なくなれば、経営者たちは、駐車場空間にもっと利益をもたらす土地利用を行うだろう。今でさえも、空き地化している駐車場が多い。都心の一等地の景観としては非常に残念に思う。ストラスブールで徹底した統一性のある駐車対策を採用できたのは、確かに、都心の駐車場の7割がすでに公営であったことが背景にある。 そして、数的に優勢であった公営の駐車場に統一した料金体制を適応した結果、市場原理が働き民営もそれに倣ってきた。公営より高い料金や使いにくい駐車場には、市民の利用がないからだ。つまり、行政が率先して駐車対策を引導してきた。