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(日本語) ストラスブール視察報告書 都市交通政策

13 02 2013 | LRT, Strasbourg ストラスブール, Tramway-路面電車, Urban Planning まちづくり

  • 2012年10月に、私が企画に携わり現地での通訳もご依頼頂いたストラスブール市での視察に参加された方々のレポートが発表されていますので、順次ご紹介させて頂きます。

沖縄タイムス2013年2月6日・オピニオン欄から・

   「都市交通政策とまちの再整備」 執筆・山内八重子氏(宜野湾市)

 2012年女性の翼の団員として10月6日から10月13日7泊8日の日程で、フランス共和国を訪問する機会に恵まれた。事前研修では4つのテーマを設定し、沖縄の実情等を学びながら研究を深めて本研修に望んだ。

 訪問先は、パリから500㎞に位置し、ライン河を挟んでドイツとの国境沿いにあるストラスブール市。人口27万人の地方都市である。昔はドイツの占領下にあったが、今では友好関係を築いており、毎日2万5千人のストラスブールの市民がヨーロッパ橋を通ってドイツで働いているという。

ライン河をはさんだ対岸の都市、ドイツのケール市。ストラスブールから歩いて行ける。写真は藤井

 マロニエの木々が色づき初め、確実に秋の到来を告げていた。街にはおしゃれなカフェが立ち並び、外に設置されたテーブルでは人々がコーヒーを飲みながら楽しそうに話している。フランス人の開放的な人柄が印象的であった。また、パリに比べてごみが少なく綺麗な街である。

この街も1990年までは、車社会で交通渋滞と大気汚染で暗いイメージであったが、トラム(新型路面電車)導入と共に街全体を再整備したことにより活気のある明るい街に再生したとの事である。都心への車の走行を禁止すると共に歩行者専用道路、自転車専用道路の設置及びパーキング政策など総合的に進めたのが大成功した。単に車を排除するのではなく、複数の交通手段を共生させたのである。「乗りやすさ、緻密さ、快適さがあれば人は車から離れて公共交通を利用するようになる」と対応してくれた市の交通政策局長は話された。実際にトラムに試乗してみて、音が静かで超低床のバリアフリー、デザイン性に飛んだ大きな窓からは街の景観との一体感を感じることができた。

 現在トラム路線38.6㎞だが、1㎞敷設するのに25億円かかる。当然の事ながら、導入には財政問題、住民との合意形成等課題も多い。きめ細かい住民説明会と日常生活に即した充分な情報提供など住民との合意形成の手法には学ぶべき点が多かった。トラム運営は第三セクターで行われ、資金のほとんどは地方自治体の予算が投じられている。企業に交通税を課し、切符の料金は社会の格差を軽減する細かい料金設定になっている。採算はとれないが、国民の交通権を法律で保証している。2015年にはライン河を超えてドイツ・ケールまでトラムの延伸計画がなされているとの事である。

 我が国で唯一電車のない沖縄に今年度鉄軌道に関する調査費の予算が付いた。既存の公共交通との共生を図りながら高齢化社会に対応した総合的な街づくりが必要だと思う。

  終わりに今回の研修で学んだ貴重な体験を今後の活動に活かしたいと思う。

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