- 3月29日に京都大学大学院教授・藤井聡先生が「沖縄におけるかしこいクルマの使い方を考える・モビリティマネジメントのすすめ」の表題でお話をされた。
まず、琉球大学工学部助教・神谷氏から「沖縄県の交通問題といま我々に求められること」についてご説明の後、沖縄県企画進行統括監による「沖縄県の将来ビジョンと交通政策」についてのご発表があった。
I. 沖縄県企画進行統括監による「沖縄県の将来ビジョンと交通政策」についてのご発表より
県庁では県民に将来の鉄軌道利用促進のために、「TDM〈交通需要マネジメント〉施策」を主要な政策として捕らえ、すでに具体的な様々な施策の進め方を検討している。
時差通勤、コミュニティーサイクル等のサイクル・バススライド、相乗り、バス運行体系の改善、トランジットモール、自動車走行規制、高度道路情報化、コミュニティバス、循環バス、キャンパス交通システム、モノレールを活用したTDM施策など。
中でも一番重要視しているのは「利用者行動意識の変革」。
「学校を対象に、交通問題と地球環境問題の関係等を教育の場から取り込み、過度な自動車依存とならないよう意識啓発に努める」とアクションプログラムに記載している。
アクションプログラムの目標の例として、以下を挙げている。
- 公共交通分担率を平成18年度の4.4%から平成29年には5.8%に。
- モノレールの利用者数を平成22年度の35.551人/日から平成30年度には40542人に。
(ところで私はこの542人という細かい数字の出し方の根拠がすごく不思議です。フランスなら約40500人となる)
II. 藤井教授のご講演より
さて藤井教授は、TDMの説明は県庁からすでにあったので」と、1時間30分の間全くパワーポイントのスライドを一枚も使わずにお話をされた。2010年のLRTワークショップでは、藤井先生は以下をご発表された。(2010 LRT Workshop 冊子より)。
「モビリティ・マネジメントとは=地域の交通〈モビリティ〉の改革に向けたいろいろな取り組み〈マネジメント〉のこと」
社会科学的には、モビリティについての「社会的ジレンマを、説得的コミュニケーションを中心として解消しようとする心理的アプローチ」。
教育学的には、一人ひとりの「公民的資質」に働きかけ、一人ひとりの「自発的な協力行動」に期待し、地域モビリティの改善を図ろうとするもの
フランスの幾つかの自治体もこういった試みを今試みているので、日本での具体的な取り組み方法に興味があったのだが、この日の藤井先生は個々のケースには言及されなかった。
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