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  • 6月15日、土木学会での『土木学会出版文化賞』受賞記念講演には、土曜日の午前中にもかかわらず100名を越すご参加がありました。『一日も早く、富山に続くLRT都市を』と願う皆さんの思いが凝縮したようなセミナーでした。その折の質疑応答をご紹介します。紙面の関係で、又マイクで上手く聞き取れない部分もあり、100%は再現出来ないのでご了承ください。質問と回答が余り離れないように、発言の順序を多少入れ替えています。
  • 交通まちづくりミニセミナー 【下記スライド・山中先生】
  • 最初に原田先生の許可の上で、ご発表のパネルを紹介いたします。このスライドの記載内容が正に、ストラスブールにおける25年間のまちづくりで実行されてきたことです。これからは「交通まちづくり」という表現を私も使っていこうと思います。 【下記スライド・原田先生】
  • では私の講演のあとのミニパネルの内容です。【写真では、ストラスブールをすでに訪問した参加者が挙手しています】

  • ストラスブール市とのかかわり

山中先生           ぼくは1994年、ちょうどトラムが開通した折にストラスブール市にいました。どこからともなくトラムがするするとあのデザインで走って来てそれは衝撃的な光景でした。

松中先生       青山先生を中心とする研究チームでストラスブール市を訪れました。藤井さんへの質問は、今トラムが普及した地方都市に住む普通の住民は、今どういう目でまちを見ているのか?昔は「渋滞をどうしてくれるのか?」という要求があったが、まちづくりにある程度成功してイメージが変わった現在、今後「まちがどうあって欲しい」と願っているのか?このままトラム敷設を続けるのか?、それとももう十分なのか?市民の思いを教えてほしい。

藤井          普通の市民で『交通権』『交通税』知っている人は少ない。しかし、「トラム運営への公金投入を税金の無駄遣いだ」という声は聞こえない。「美しいまちに住んでいる」という誇りと、観光客が来ることによって、自分はトラムの恩恵を直接受けていなくても、「美しいまち=不動産の価値が下がらない。」という点をみている。だからたとえ自分が利用しなくてもトラム導入には納得している。日本とは違って、フランスでは自分の家先の路線だけではなく、住民がまち全体をみている印象がある。

また、トラムが入ったのがすでに20年前。今の30,40代にとっては『都心には公共交通を利用するライフスタイル』が定着している。むしろこれから年金生活に入る団塊の世代の車離れをどう推進するかが、フランスでは課題となっている。

今後の希望については、ほとんどのまちでトラムがすでに導入されているのが現実で、人口が10万以下の都市ではバスサービスの充実で十分な所もあるはずだが、まだ13の地方都市がトラム導入を検討している。それはなぜか? 市民と市長がトラムを欲しがる。「トラムを導入するとまちが綺麗になる」というセオリーが出来上がっている。

真田先生         2009年にストラスブール市を訪れた時に印象に残っているのは、特に鉄道好きではないが、トラムが来ると絶対に写真を撮ってしまう。景観に大変留意しているのが分かる。また藤井さんの本を読んで印象に残ったのは、トラムを中心とする交通政策がまちづくりの総合政策の一つとして位置づけられていたこと。景観も当たり前のように含まれている。日本ではまだ景観に市民権がない。機能中心で、「景観は贅沢だ。」という意識が残っている。フランスでは機能と景観が、暮らしやすさの中で一体化されている。フランス人にとっての景観の言葉の定義を教えてください。

藤井         景観については、まずフランスがその人口を上回る観光客が訪れる観光大国であり、経済の大きな要素になっていることを忘れてはならない。「景観が美しくなければ観光産業が成り立たない」というコンセンサスが昔からある。

同時にフランスでは広告などを規制する法律が多く、法律に守られて歴史建造物の美しさが保たれている。まちの整合性、調和を守るために大きな景観規制をかけ、窓、欄干、屋根の色まで決まっている。個人が家を建築する折にも建築許可が必要で、まち全体のカラーに合わせなければならない。それを守ることによって、まちそれぞれの独自性が保たれている。国民性というよりは、法整備の観点から「景観を大切にしている事実」が理解できる。

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