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会場からの質問

質問1   日本はかつての歴史を壊すところから、まちづくりをしている。80%が車依存で、交通事故が多い。フランスの自動車交通の世界はどうなのか?

藤 井        「フランスでも点と点を結ぶ国土の移動の80%が車。 しかし地方都市の都心にアクセスする時には公共交通利用が主になってきた」。 いったん地方都市を 出ると、日本にくらべて車でしか行けない所が多い。 現在、政府はCO2削減20%を目標にしており、二酸化炭素排出源の30%を占める車対策に乗り出し ている。 トラック環境税は100Kmに12ユーロを課税するが、私がこの本を書き始めた3年前から議論されている。 この7月に立案か?またトラックオントレインという物流をトラムや貨物で運ぶシステムも考えられているように、物流を再構成することも視野に入っている車の走行距離全体の30%削減がストラスブール市のPDU(都市交通マスタープラン)2025年のターゲットである。

「車のインテリジェントな使い方をしましょう。カーシェアリング、乗り合い自動車なども考慮に入れる。」国全体がそちらの方向に向いている。

質問2     昔、  カールスルーからストラスブールに行った。Vandalismeはどう思うか?また利用者への利便性【切符について】は?

藤 井        ストラスブールはゲルマン文化の良い所も備えており、他のフランスの都市にくらべて格段に清潔で余り破壊行為も目に入らない。また破壊行為に関連して思い 出したが、タグや落書きの清掃に、市民の無償行為をあてにする仕組みを行政は最初から考えていない。Vandalismeがあれば税金を使って処理するの が行政と市民が考えているので、日本のような「みんなで市民公園を掃除しよう」的な活動は非常にフランスでは珍しい。切符に関しては、家族割り引き、3日 間切符等ありとあらゆる便宜が図られており、またもともと公共料金そのものがとても安く設定されている。

質問       国交省のものです。仕組みを後押しできればと思うが、分権の話が話が出たので事実関係をお知らせしておきたい。省のスタンスとしては安全しかみていない。だからたとえば宇都宮バス撤退とか撤回とかは出来ない。これからは『官対民』ではなく、『官と民でどこをどういうふうに分担してゆくべきか』ということを検討したい考えている。5月に大臣からお話があり、そのあたりは問題意識として持っている。

藤井        今日は日本での国からの補填のご紹介ができなかったが、国交省からはインフラ整備に対して自治体に、車両購入などに対して事業体への補助が整備されている。

山中先生     日本での分権は進んでいる。自治体の間での調整が肝要で、その力をつけてゆくのが大切。また専門家の有期雇用を自治体も考えてゆく必要がある。

  • 青山教授の終わりの言葉

本の推薦文の書き出しに実は悩みました。最初のフレーズがなかなか思いつかなった。「ストラスブールはまちづくりの聖地である」が書けてからは、すらすらと出てきた。ストラスブールの都市計画には総合政策【我々はこれをパッケージ政策と呼んでいる】のすべてが詰まっている。それを藤井さんが見事にまとめて非常に分かりやすく説明した

残 念なのはここ5から10年、多くの日本人がストラスブールに行って報告書も多いにもかかわらず、日本とフランスのまちづくり格差が広がるばかり。今日のよ うな写真を見るとその良さが分かるだけに、余計にますます格差を実感してしまう。落ちこぼれ生徒のような気持ちになったが、だからこそ藤井さんにはもっと こういう講演を是非続けて日本に広めるてほしい。

日本でよく出る質問は「日本とフランスが違うからだめです」「いい例だけいってもらっても無理です。」では、ここで日本で足りないものの再確認をしたい。

  • まず「市民レベルでの車から社会への意識転換ができていない。」【パラダイム変換】車のほうが先にエコカーという形で転換してしまった。空気が綺麗になったのでもういいのかなーということになりかねないうちに、高齢化対策も含めて一番広い市民レベルでこの『車社会からの転換』という考えを広めてゆかねばならない。次に、都市交通実現のビジネスモデル、組織づくり、資金調達、条例法整備ができていない。国はサポートしているが、自治体が自分で回せてゆけるような仕組みがない。3つ目は合意形成。私自身幾つか痛い目にあっていて、トラム実現直前に市長選挙があって計画が覆された。合意形成の間に市長選挙が入ってしまい、事前協議の制度そのものが社会に根付いていない。最後に基本的なことで、交通権・移動権の保証。交通基本法を作るのが正攻法。「急がば廻れ。」ですが、あれは今国会のどこに行ったのでしょう?じわじわと基本的な法律を整備してゆく必要がある。この4つがないことが大きい。これがフランスとの差だと思う。ここで、若い方へのメッセージ。お願いがある。我々は論文生産のために、論文にパスするために数字をいじる研究をする。しかしこれからは研究内容や土木政策を実現するために「どんな制度が必要か」などの、「工学の実用学」を誰か手がけて欲しい。そういうものを積極的に進めて欲しいと、ここは土木学会なので言いたい。それから地震と津波。災害にあってLRTと車のどちらがいいのか、という視点も日本には必要。帰宅困難者はどうなるのか? 原発がなくなりエネルギー危機がおきたとき、日本は問題をクリアできるのか? 日本の国策としても、都市交通計画を考えてゆかねばならない。京都では厳しい景観規制をしている。標高規制。色彩規定。規制の強化によって観光客が増える。建築・デザインに工夫する。規制強化が決して経済の妨げにはならないことが証明されている。市民の80%がアンケートで規制を認めている。この市民レベルの意識が基本的に大事。これから自転車、歩きのまちなどこれらをどう勝ち取るか?まちづくりのアイデアを振興させる時代にきている。

 

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