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  • この6月に沖縄から飛行機で1時間の鹿児島市の路面電車の緑化整備事業のご案内を頂く機会を得ました。静岡市で講演を行った折に、現在の静岡市副市長の山本氏が鹿児島市副市長の時代に取り組まれ、平成19年度に一部区間が完成した鹿児島市の軌道敷緑化が、フランスでは当たり前となっているが、日本では初めての本格的な軌道敷緑化となったことをお聞きした。

鹿児島では7年をかけて、8.9Kmの軌道に沿って35000M2の芝生を敷設した。事業費には国交省からの社会資本整備総合交付金(平成22-24年度)も活用されている。 (写真下・平成14年から導入が始まった超低床電車「ユートラム」【現在は13両】と従来の路面電車)

市電軌道敷緑化は、「環境リーディングシティ鹿児島」の実現が目的で実施され、何よりも環境が重視された。ヒートアイランド現象の緩和【夏、晴天時の地表面の温度は、緑化した軌道敷き内で17から18度低い。緑化した中央分離帯では24度も低くなった】が強調される点が、何よりもまず『景観』のために緑化を進めるフランスと違って興味深い(しかし、ストラスブール市も当初は軌道沿線住民への電車通過音吸収のために、芝生をひいた)。もちろん鹿児島市の都市景観の向上も目的の一つであり、日本の他都市の緑化における先導的な役割を果たしている。

又、フランスでは見たことがないが、鹿児島では芝生緑化維持のために廃車車両台車を活用した芝刈り装置と、現役引退電車を利用して散水電車を開発した。

写真上の芝刈り装置は、廃車電車の台車に、4基の芝刈り用の刃、油圧ポンプ、芝刈り収納箱を設置し、刈り取った芝を吸収、回収ができる仕組みになっている。鹿児島の気候では芝の伸びは大変速く、芝刈り作業は夜間に頻繁に行われるそうだ。

鹿児島市は現在 交通局のほか船舶局を設置しており、電車・バスの運行に加え、フェリーを運航するなど都市交通全体に渡って自治体が経営している、日本では数少ないタイプだ。1928年【昭和3年】に市が鹿児島電気軌道㈱を買収し、鹿児島市電が発足。『鹿児島市交通局』の歴史は古い。

さて、かつてストラスブール市長を訪問された時に通訳を務めさせて頂いた、鹿児島市の森市長にもご挨拶する機会を得ました。ストラスブール市の公共交通を導入した環境まちづくりに大きな感銘とインスピレーションを得られたそうです。現在は桜島の噴火が話題になっている鹿児島ですが、本当に素晴らしい自然に恵まれた、日本最南端の路面電車が走る街です。

【写真右・ご案内してくださった鹿児島市のみなさま、ありがとうございました。】

【写真下・森市長と】

【写真上・車庫・低底車両も含めて54両を有する鹿児島市交通局の電気事業は黒字運営の優良経営を行っている】

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