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宇都宮市LRT シンポジウムレポート 1

20 02 2014 | Actualités ブログ記事, Concertation 合意形成, Conférences 講演, LRT, Utusnomiya 宇都宮市

  • 日本で富山に続くLRT導入と期待される宇都宮市。市の中心部と2つの大き な工業団地がある東端を結ぶ道路における在勤務時間帯の道路渋滞問題の解消を図って、約15キロメートルの路線を想定している。しかし、民主党県連や連合栃木をはじめ市民団体などで組織する「民意なきLRT導入を阻止する会」は、導入の是 非を問う住民投票の実施を求める署名運動を2013年度末に展開し、請求に必要な有権者数の50分の1(2現在で8318人)を大きく超える3万 2419人分を集めた。
  • 宇都宮市にはすでに2000年に「新交通システム導入基本方針」を策定し、2003年に「導入する技術はLRTとする」という報告書が提示されたが、2000年に大型公共工事に反対する形で当選した福田昭夫氏が知事になり、2003年には県は実質上計画からの撤退を発表。その後、LRT計画は市の主導となった。2004年はそれまで宇都宮市長としてLRT計画を進めてきた福田富一氏が栃木県知事に就任。その当時にLRT推進市民団体「雷都レールとちぎ」【ツイッターでお世話になっています】も誕生している。しかしこの頃からバス会社・関東自動車が反対する意向を表明。2008年、20012年の市長選挙ではLRT推進派の佐藤栄一氏が当選。(参考文献・「鉄道復建・宇都宮浄人著」)。特に2012年暮の選挙戦でははっきりとLRT企画の是非が問われたので、LRT導入への民意は得られた、と考えた人も多かったはずだ。にもかかわらず、ここに来て「住民投票」を問う、という展開になった。フランスでは1987年に2番目にLRTを導入したグルノーブル市で住民投票を行い僅差で勝った、というゆきさつがある。
  • しかし、元来LRT導入は住民投票を行って決められる課題だろうか?公共性の高いまちづくり政策には多くの市民の利害関係が対決するので、長期のヴィジョンを持った都市計画の責任者が、ある時点で「最大公約数の市民が恩恵を得ることのできる方向性」を決断しなければならない。住民投票などを行うと、現行政権の反対派はLRTに反対でなくても反対に票を投じるし、LRT賛成派はわざわざ投票所に行かないかもしれない。そもそもまちづくり、ましてや交通手段導入計画になど全く無関心な市民も多いはずだ。日本社会ではクルマの利便性を尊ぶ余り、これから20年後超高齢化社会になった日本の中小及び地方都市における公共交通の必然性に目を向けない市民が多いように思う。あなたは自分が運転できなくなった時、どうしますか? 今私が住んでいる究極の車社会である沖縄県ではすでにそういう事態が起きている。孫が運転してくれる週末にしか、家を出れないお年寄りたち。そして市民1人当たりのガソリン量が日本1になった年もあるという宇都宮市。低炭素社会をもめざして、基幹路線の東西方向のLRTを整備し、数カ所に結節点を設けて、郊外からのバ スやクルマから乗り換える移動プランが下図(宇都宮市会議・遠藤氏提供)
  • LRT反対者は「事業の採算性、費用対コストが見合わない」「現在でさえ混雑する道路にLRTを敷設すれば、さらに渋滞する」と述べる。合意形成には、「なぜBRTや他の手段でなくLRTなのか」を示し、「LRT計画を導入によって、市民生活がどのように変わるか」、そして「導入によりどういうまちの将来の姿を描いているのか」を市民に示す必要がある。「なぜLRTが必要なのか?」またバス会社には、「基幹線となるLRTのフィーダー的にどのようにバスを走行させるか」、想定路線作成の段階の今から当然協議を重ねておられることと思う。
  • 以下、ストラスブール市で合意形成を長年担当してきた方の意見を紹介する。『合意形成』に成功するために一番大切な点は、「都市交通計画が、社会に何をもたらすか?」を明確に市民に説明すること投資に見合う効果として、『車が減り環境が改善する。汚染がない。 歩く機会が増えて、病気が減る。福祉対策としてもすべての人に交通手段の提供。こういうことを具体的に教えてゆくのが一番大切な点である。そして、『車がなくなると、まちがどのように再構成されるのか、市民はどう動くようになるのか?』を分かりやすく説明する。 それから 『何故自治体はこの交通企画をたてたか?』  その場合、『なぜバスでなくてトラムを選んだのか?』 と自治体の策定計画に対する背景を説明する必要がある。 それができれば、合意形成は成功したといえる。」
  • そんな宇都宮市で2月19日に交通シンポジウムでお話します。副市長の荒川氏【国交省から】もご登壇されます。是非皆さんもご参加してください。

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