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ミュールーズ トラムトレイン 2

28 06 2014 | Actualités ブログ記事, LRT, Mulhouse ミュールーズ, Tram Train トラムトレイン

  • Mulhouse【ミュールーズと発音する】中央駅から10駅目のLutterbach駅までは完全なLRT走行。 つまり道路上の鉄軌道上を走る。 この”LRT路線3″はそのまま11駅目からトラムトレインになる。 “LRT路線3″以外の路線で来た場合は、下写真のLutterbach駅で、普通のトラム【黄色の車輌編成】から、トラムトレイン【ブルーの車輌編成】に乗り換える、と分かりやすいように区別している。 11駅目から15駅目までのThannという村まではフランス国有鉄道SNCFの線路を走る。 さらに先はSNCF運行の普通の汽車なので、終着駅Kruthからミュールーズ中央駅まで以前は1本の汽車で移動できたが、今ではThannでトラムトレインに乗り換えて、中央駅に行く。 だからこのトラムトレインはThann 駅から市街地よりの住民には便利になったが、Thannと Kruth 間の住民には不便になってしまった。 当然、将来にはKruthまでのトラムトレイン運行が予定されている
  • ミュールーズ市のLRTはフランスのアルストム製で、トラムトレインはドイツのシーメンス製だが、トラムトレイン車内のデザインはカラーこそ異なるが、スペース感や窓が大きい開放感は、トラムもトラムトレインも全く同じである。
  • 実際にはトラムは約500mごとに電停が設けられるので”立ちスペース”を多く取ってもよいが、長距離を走る汽車【トラムトレイン】となるとやはり”座席スペース”が大切で、デザイン上どちらを優先するかなど、様々な工夫が必要になってくる。 しかし、全長22Kmくらいの路線であれば、LRTの都市域内交通のデザインで、トラムトレインも統一できるわけだ
  • 実はトラムトレインは管轄行政が複数にまたがるので、調整が困難として、ストラスブール市では余り計画は進んでいない。 【「ストラスブールのまちづくり」164ページ参照】     どれだけ関与する交通行政があるかと言えば、たとえばミュルーズ市のトラムトレインを例に挙げると: 右の写真・車体にプリントされたロゴを上から紹介する。
    1. まずSNCF(フランス国有鉄道)
    2. 2MA ( ミュールーズ都市共同体―都市交通の政策・管轄機関)
    3. SOLEA(都市交通の運営事業体)
    4. アルザス地域圏政府(フランスでは地方鉄道は、県ではなく地域【州政府】に権限譲渡された。トラムトレインのインフラ整備コストの35%を出資している)

    と、これだけのパートナーがいるわけだが、そのあたりのスポンサー混在の複雑さは前面に出さず、あくまでも利用者に分かりやすいように「トラム、トラムトレイン、汽車」と乗り方標示や料金体系に工夫がされており、間違っても東京のように同じ地下鉄で都営とメトロを乗り換えて初乗り料金を短距離でも2回払うようなことはない。 地域交通運営の一元化に見事に成功している。【写真下・上からトラム・トラムトレイン・汽車。 料金はゾーン制を採用している】

  • 下写真の新しいレールはトラムトレイン用に引かれた。 この地点から右側のSNCF(フランス国有鉄道)の路線に合流する。

  • さてこの終着駅のThannだが、実は10年ほど前に日本の某企業が、経営多角化の一環としてお洒落な室内暖房パネルを生産する地元企業とコラボ事業を行ったので、私は何度かこの地域を訪れたことがある。 アルザス南に点在するThannを代表とする数々の村落は緩やかな山を背景にブドウ畑が広がり、風光明媚で絵葉書のように美しい観光地でもあり、ワインも美味しい。 世界中のライダー【オートバイ】の憧れのコース、「ワイン街道ー県道35号線」の終点でもある。

ため息の出るような美しいアルザスの村落風景【写真上・ため息が出るような美しいアルザスの村落風景】

  • そんな山間部の長閑な村落風景とは対照的に、鉄道から降り立ったLRTが導入される前のミュールーズ中央駅前にはジャンキーと浮浪者がたむろし、都心の雰囲気も決して明るいものではなかった。 それがトラムが導入された今ではバスも含めて、公共交通機関が鮮やかな黄色にコーディーネートした素敵な空間に変わっている。 ミュールーズ市のこれからの選択は、トラム電停を拠点として、優先信号システムを搭載した利便性の高い連接バス(専用レーンは設けないのでBRTとは言えないが)を、 『トラムバス』と命名して展開してゆくことだそうだ。ストラスブールに視察に行かれる方は、是非ミュールーズまで足を伸ばしてみてください。

【写真上・ミュールーズ中央駅前】

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