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  • 次ぎにインフラについて。     道路は「コンクリートだとひび割れ」が出来やすく、「アスファルトはわだち」が出来る。だからどちらがバスに適切かはまだCEREMAでも研究中だが、現在はルーアンではアスファルト舗装である。専用レーンでは7年ごと(いつも同じコースを走行するので)、一般車との共用道路は10年ごとに再舗装している
  • それからフランスの定義ではBRTはその走行路線の7割が専用レーンでなければならない。(写真左・TEOR専用と赤く塗装された道路上に表記)ルーアンではこの専用レーンを確保するために、実に細かい工夫を行っている。そもそも専用レーンといっても

①完全な双方向専用レーン(一般車用の車道との間に15cm前後の分離帯を整備し、物理的に消防車・警察車を除いては一般車・タクシーは入れない専用レーンもある。多分バスのみの双方向専用レーンはまだ日本では存在しないのでは?)と、

②分離帯を設けていないために一般自動車の横断だけは可能な専用レーンがある(この場合も双方向と一方方向のケースがある)。 また上の①と②にも様々なバリエーションを持たせることができる。たとえば、下の写真の都心部のTEOR専用レーンは、双方向だが分離帯がないので、一般車は専用レーンを横断できる。

双方向TEOR専用レーン・ただし分離帯がないので、一般車は専用レーンを横断できる

上写真は 一方向TEOR専用レーンだが、一般車が侵入出来ないように分離帯を設けている。

  • そして道路幅が狭い時には信号に近い道路の中心帯にTEOR専用レーンを設け、一般車との共用レーンからTEORがこの専用レーンに乗り、一般車が赤信号で止まっている間に、TEORは専用優先信号で先に交差点を渡ることができる、という工夫をしている。この通行政策が、反対車線でも使われている。下の写真の道路中心の斜め路線が、右から入るTEORと左から入るTEORとの境界線になっている。「バス運転手が乗り上げるレーンを間違うのではないかと」いう懸案もあったそうだが、現場では最初から全く問題はなかったそうだ。この仕組みは是非現場で見て頂きたい。

この地点で、一般車道からTEOR専用レーンの赤い道路上に乗る

停留所前のスペースはTEOR専用道路で一般車は侵入不可

信号を通過すると、再び一般車との共用レーンに戻る

ここで伝えたいのは、バス専用レーンといっても、様々なあり方が可能で「工夫次第では車走行と共存させながら、狭い道路でも専用レーンを確保して、停留所や信号のある拠点でバス運行を優先させて、BRTの定時性を確保できる」ということだ。このほか、インフラとしては、TEOR停留所などもトラム電停と同じような利便性や設備を整備していることは言うまでも無い。

  • インフラ・車輌の次は運行サービス。ICT搭載、運行情報提供、信用乗車などは当然だが、ここで注目するのはTEOR優先信号システムである。信号の100mくらい前に地下に埋めたコード化された磁気ループがバスを探知して、青信号が動作する。しかし信号が停留所のすぐ近くにある場合は、乗客の乗降時間が読めないので、その場合は運転手がマニュアルで青信号を無線発動させる(【トラムとBRT専用信号】R17を整備している)。優先信号システムについては、メッス市レポートでまたあらたに詳しく述べたい。
  • さてTEORに頁を割いたが、ルーアン市は一般バスサービスの充実化にも力を入れている。普通の路線バスサービス28路線のほかに、通常バス路線をグレードアップしたFAST路線(BRTと普通路線の間に位置する)を5本(122.6Km・一日のトリップ数35000)整備している。トラム(LRT)、TEOR(BRT), FAST路線(一般バスのグレードアップ)のそれぞれの営業運行速度が平均18Km/h 前後(停留所で止まる時間も含めて)で、これらすべての交通システムの年間整備コストは2013年度、111万ユーロ【約1億5千万円.1ユーロ=140円として】である。TEORに関しては2007年と2013年で乗客利用率が56%も上昇しており、ルーアン市におけるBRT導入は成功だった、と言っても差し支えないであろう。

    フランスに第二に規模が大きいと言われるセーヌ川岸の野外遊園地。橋を渡るLRTから良く見える。

     

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