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  • ナンシーの自転車政策とこれから

又同市は自転車にも新しい2006年のPDUでは重点を置いているが、これも究極はバス運行のためである。なぜなら、自転車利用に移行したユーザーは元来は歩行者だった市民だ。バスに一駅か二駅乗られてバスが満杯になり、コスト高のBRT車体を増やす必要に迫られるよりは、一駅や二駅は自転車で移動してもらい、本当に長距離移動にバスが必要な市民に乗りやすいスペースを確保したい、という見解でこれも立場がクリアだ。また、自転車専用道路は余りみかけず、バスレーンと自転車道路は共有である。バス専用レーンに自転車乗り入れを禁止しても、実際には自転車は一番歩行道路に近いバスレーンを利用することが多い。それならば禁止・取り締まりというストレスフルな措置はあきらめて、バスと自転車共有レーンにした、というこれも極めて現実的な処置だ。このバス・自転車共有レーンはパリを初めとして他の都市ででも見られる。

TVRの車体ドアに貼ってあるポスター。ラッシュアワー以外なら、トラムは自転車を歓迎します、とのメッセージ

  • ナンシー都市共同体は2006年にPDUを策定した。下はPDUに2007年に追加された長期自転車レンタル推進プロジェクトのレンタルサイクルを利用する市民。「アクティブモード」と呼ばれる、自らが 歩いたり、自転車に乗って移動することを、モビリティーマネジメントを通して薦めることを、PDUでも言及している。アクティブモードは市民の健康推進のためでもあるが、実は歩くことが習慣になれば、現在500M間隔のバスやLRTの電停間隔を、700Mにまで持ってゆくことが出来れば、長期的展望では交通整備コスト削減につながる、という考え方がされている。ナンシー市では2009年には『自転車ハウス』も設けたが、しか しストラスブール市などに比較すると、残念ながら町なかではまだほとんど自転車は見かけない。

こちらはワンウエイ式のレンタルサイクル

  • 自転車とバスは専用レーンを共有している、パリ市など他の自治体でも良く見られる例。「バスレーンは比較的すいているが、一般自動車レーンは混んでいる」、という状況に対して市民からある不満に耐えながら、それでも自治体は公共交通利用推進、歩き、自転車利用優遇政策を遂行する。それが長期的展望にたてば、まちの活性化につながるという信念のもとに。

    • 2006年にPDUは約10年間先をターゲットにしているので、ちょうど今から政策の見直し等が、TVRに代わる新しい交通手段選択と共にこれから始まる。都心の各広場の整備も美しく完成しているが、ナンシー中央駅に降り立つと、60年代に建設されたタワーが不器用にそびえており、其の背後にある美しい町並みと見事なスタ二スラス広場の景観を想像させない。現在大規模な駅前工事中であるが、新しい駅前景観が見られる頃が楽しみだ。

    TVRの後ろに見える中央駅前のタワー。他の建築物から切り離されて、唐突に建っている風情がある。

中央駅から徒歩5分でスタニスラス広場に出る。右は現在は市庁舎になっている建物

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