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BRT メッス Metz 1

30 05 2015 | Actualités ブログ記事, Bus BRT バス, Metz メッス

メッス市のBRT Metz  https://www.fujii.fr/?p=3248 の続編です。

①    BRT導入のいきさつ

  • さて、TVRとBRTの双方を走行させているナンシー市に対して、ロレーヌ地方の主導権を掌握する戦いを続けてきたのがメッス市。今では協働で地域全体を盛り上げる方向に動いているが、それでもパリからストラスブール行きTGVの駅がこのどちらの都市にも新設されず、二都市間の野原に整備された。https://www.fujii.fr/?p=3784

またメッス市もストラスブール市と同様、1918年の第一次世界大戦終戦までの約50年間ドイツ領だったので、現在の中央駅付近にはドイツ時代の建物が多い。駅舎は1908年に完成した素晴らしい指定歴史遺産建造物で、駅前広場にはショッキングピンク、イエロー、ブルー、グリーンのカラフルな4色を備えたとても格好いいBRTが走っている。

  • メッス市は都市交通整備は後発組みだが、BRTを中心にすえてバスサービス供給に徹した政策を展開した。

2000年にPDUが策定され、2006年から基礎調査に入り、路線協議などの合意形成は2009年から始まった。2010年には公益宣言DUPが発令され、2011年からライフライン地下工事を開始。20Kmの路線を6区域に分けたので工事には6社が参入し、同時に新しい車庫も整備。2012年にはBRTの新しい車体を購入して、2013年末に「METTIS」と名打ってBRTサービス2路線を開通したが、その際に従来の路線バスも再編成して「LE MET’」という商業ネーミングを行い一緒に再出発させたのが特徴だ。なぜ メッス市はBRT導入に踏み切ったのだろうか? 時速が16Kmから10Km  まで落ちて全く定時性が補償されていなかったバスの利用客が減り、何か徹底した交通政策を取らなければ、という危機意識を持ったそうだ。現在走行しているBRTは、二方向の専用レーン整備、信用乗車のバリヤフリー車輌、定時性、速達性にすぐれ、運行時間帯も長く、インフラ、車輌、サービスのどの点からみてもBRTとしてほぼ完璧なサービスを供給している。【下図・赤と黄色が現在のBRT路線。緑と青はこれからの整備予定路線。P+Rも整備されている】

かつてメッス市では夜8時以降は公共交通サービスは無かったが、今では朝の5時30分から夜中の12時まで運行している。ナンシー市のBRTの18mよりさらに長い23.55mの連結車体が27編成あり(3編成は予備)収容乗客数は1台あたり150名(1M2に4人として)。

スマートな車体は内部も洒落ていて、天窓が設けられているので非常に明るい。(写真下左)

また運転席が黒格子のモダンなデザインのガラスドアで、乗客から完全に遮断されている。(写真下)

オープン時には1日に25000トリップあり、今は28000だが、1日35000トリップをめざしている。LRT(一両編成45m)は1日40000トリップがなければ過剰供給といわれているので、「現在の利用状況をみるとメッス市にはBRT(一編成23,55m)が最適であった」と、交通政策主体であるメッス・メトロポール(メッス市を中心とした都市共同体)は考えている。ちなみに昨年度フランスのブザンソン市で開通したLRT車輌はスペイン製CAFで24m。もうこうなってくると、フランスの地方都市ではLRTとBRTの境界線が曖昧になってきた(少なくとも運送能力については)。

タクシーも侵入禁止の総距離17.8KmのBRT専用レーンの沿岸に、「French Way Tram」の伝統?に従って、徹底した景観形成を同時に施した。37の駅を設けたが、これはバス停の間隔は500M以上離れると利用率が減少することから、計算されている。メッスでは「公共交通の中軸と両横に、十分な公共スペースとグリーンスペースを整備していた先輩達の慧眼のおかげで、BRT専用レーンを簡単に設定できた」と(写真右)と、交通局のエンジニアが語っていたのが印象的だった。

しかし一見、専用レーン整備が簡単なようにみえるフランスにも大きなハンディはあり、たとえば歴史建造物が多い地区では思い切った都市計画ができない。駅前広場も歴史遺産物に指定されている駅舎と広場にマッチする道路敷石使用が義務付けられており(写真下)、美しく仕上がっているがこれはコストにもはねかえってくる。通常、クルマ道路はアスファルト、BRT専用道路はコンクリートで整備しており30年くらいは耐久があると考えられている。【続く】

(写真右・メッス都市共同体が理想としていた電停模型)

(写真下・でも本物の電停もスマート。電停の後方はポンピドー美術館)

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