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カーシェアBlablacar

22 07 2015 | Actualités ブログ記事, Car 自動車, Paris パリ

  • さてストラスブール市がカーシェアリングを早々と1999年にビジネス化したことは『ストラスブールのまちづくり』124から131ページで紹介した。市役所で期限付き契約で勤務していた友人が起業した初代のカーシェアリング会社「Auto’rement」は、今では「CITIZ」と改名し、フランス全土でビジネスを展開している。そのCITIZが、『予約なし。乗り捨て式』のカーシェアリングサービス供給にこの6月から乗り出した。1時間につき2.5€、1Km走行につき0.35€が料金。ただし一日借りても25€を超えることはない。また100Km以上の走行には0.17€(Kmあたり)加算される。http://yea.citiz.coop/ サイトにアクセスすれば、利用料金を自分で計算できる 。

    原典・http://yea.citiz.coop/

勿論ガソリン、保険、メンテは込み。今までのようにカーシェアリング用の指定されたパーキング場所に駐車する必要はない。何処にでも止められる。これはフランスで初めてのシステムだ。(図左・ただし、あまり都心から離れた所には乗り捨てはできず、大よその半径が決まっている)

提供 http://yea.citiz.coop/

日本では「貸した自転車が帰ってこない」、などのトラブルが報じられていたが、CITIZのメンバーになる為には、身分証明書、免許書、銀行口座、詳細、現住所証明書が必要でギャランティー600€をデポジットする。勿論この4つの書類の名前が同一でなければならない。メンバー申し込み用紙には結構書き込む欄が多いし、契約書も14頁もあるので、クライエントターゲットは、スマホを使いなれた都会の居住者だろう。だから乗り捨て可能区域もCUSのエリア内に限られている。だいたい、図のエリア圏外に居住している住民はクルマがなければ生活できない。クルマを見つけるのはヴェリヴと同じでスマホで位置を確認する。今はまだ30台しかないし、実際私も7月上旬にストラスブールではまだ見かけなかったが、多分これから急速に発展するだろう。

  • なぜなら、今、フランス社会全体で「モノを所有せずに、共有する習慣」が一般化してきているから。まずクルマでいえばBlablacar.この一般人の間での『クルマの相乗り』システム(カーシェアリングではない)をビジネス化したのはフランスの最高学府、サルトルの出身校でもある高等師範学校出身のフレデリック・マゼラ氏(Frédéric Mazzella)(現在39歳)。2003年、クリスマスにパリから実家に帰る汽車が満員だったので、ネットで『誰かクルマで同乗させてくれる友人』を探していた時に、カープリングのマッチングサイトのアイデアを得て、2004年にはプラットフォームをコード化してビジネスを立ち上げた。
  • 2013年にネット上での予約に手数料を導入し有料化したことで、それまでの『相乗り』ドタキャン率35%が3%にまで下がり、システムは利用者の信頼を得て大きな発展を見せる。(料金は利用者から企業に一旦振り込まれ、目的地に利用者が到着した時点で利用者がパスコードを運転手に通知してから、企業から運転手に料金が振り込まれるシステム。手数料には消費税も含まれている) 企業Blablacarはすでに19カ国で利用されているが、2015年春にはドイツの同業者Car pooling社を2000万€で買収し、大きな成功をおさめ発展を続けている。フランス語での「ぺちゃくちゃ」(おしゃべりする)が「BlaBla」で、知らない同乗者と話しをするのがわずらわしい利用者には「Bla Car」というカテゴリーもあるのがおもしろい。
  • 日本の講演でこの話をすると『ヒッチハイク』を想像して、『怖いですね』というコメントをされた方がいたが、この方はSNSの威力を知らないのだろう。Webサイトには運転者に既に同乗したクライエント達のコメントがびっしりと並んでいて、ちょっとやそっとで変なことができる雰囲気ではない。(勿論すべての情報は、利用者達が運転手を『信用』して、『安全に』旅程を共有できることをアッピールするためだ。)つい最近、韓国での講演でイギリス人ノーベル賞学者が発言した「(研究所でも)女性は叱るとすぐに泣く」等の内容がSNSを通して瞬く間に世界中に広まり、Sir Huntが名門ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)名誉教授職をはじめ、欧米のすべての要職の辞任に追い込まれたのは生々しい記憶だ。日本だとかなりの男性が失職するはずだ。Blablacarシステムの最後の課題といわれた各種保険のシステムも整備され、今では『クルマがパンクしても目的地に到着できる』保険がある(これは代替交通手段費用の返済だろう)。これなどストで止まってしまう汽車よりいいではないか。
  • 若い世代のこういった交通行動「クルマ離れ」に対して、とにかくクルマそのものまず慣れ親しんでもらう、という意図でベンツでさえカーシェリング用(Car 2 Go)のクルマを提供している。https://www.youtube.com/user/car2go
  • クルマ離れの理由は
  • ①    不安定雇用が増加に伴い、免許所得費用が払えない、或いはクルマ購入のローンが組めない、30歳以下の若者が増えてきた
  • ②    購買能力がある層でも、「所有」に必ずしもこだわらず、「必要な時に借りればいい」という概念が、クルマに限らず少しづづ拡がってきている
  • ③    所得が高い若者は中心市街地に居住しているが、市内での駐車がどの欧州都市でも困難になってきている。又、この層は「お金はむしろ海外旅行に使う(移動に関しては)」という傾向がある
  •  『環境』というキーワードは一応フランスでもまず利用者の口から出るが、社会学者は違った見方をしている。たとえ『経済的理由』がメインであってもそう簡単には言わないのがフランス人。こういう新しいタイプの消費を『協力型経済』Economie collaboratriceと名付けている。その背景にある哲学は『連帯』『共有』そして「交流」。こういった『価値観』を世の中が求めているからだという。
  • たとえば自転車旅行。欧州には何千キロも走るライダーがいるが、https://fr.warmshowers.org/ というサイトがあって、そこで各国のライダーの自宅に泊めてもらい、自転車談義に一夜を過ごして次の旅路に、というシステム。趣味を共有する人たちだから話もすぐに楽しいだろうし、欧州の場合だと国際交流にも繋がっている。正に、連帯と共有、交流だ。(しかし、余り人を自宅に呼んだり泊めたりする習慣がまだ少ない日本では、こういったシステムは馴染むだろうか?)
  • バカンスにもネット上でお互いの家を交換したり、またもっとビジネス化させて別荘や自分の車を短期間貸したり。フランスに限らず欧州では今「こういった副収入にどのように課税できるか」、「社会保険等の負担金を課すことができる」か、という社会的課題を検討する段階に入っている。結局便利で独立したサイドビジネスを可能にしたネットは、ある意味で地下経済を発達させているわけだ。それがフランスでのUBER POPを巡る今回の騒動 https://www.fujii.fr/?p=3960 につながったといえる。

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