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(日本語) 平成24年度土木学会出版文化賞

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【受賞理由】

ストラスブールは日本の多くの都市と同様に車社会であったが、この30年でトラムの整備や道路交通施策を中心として環境先進都市となり、日本のみならず世界中から視察が絶えない都市となった。本書ではこのストラスブールのまちづくりを紹介している。

著者は30年 におよぶフランス滞在中に、数多くの日本からの視察者を受け入れ、通訳として活動していた。そうした中で著者に蓄積され体系化された情報をもとに、各種の 報告書や歴代の市長や行政マンへのインタビューなどの綿密な調査を実施し、さらにまちの歴史や市民意識、財政、政治、文化、技術、経済など、まちづくりに とって重要ではあるが視察に訪れただけでは理解し得ない情報を、実体験を踏まえて盛り込み、ストラスブールの成功の軌跡を総合的に書き記している。

土木計画学を社会に活かし都市を魅力的なものにしていく経緯は、まちづくりの専門家に将来への展望を与えるものであると同時に、まちづくりが総合的な取り組みであることを示唆している。

また、まちづくりに関心の高い市民の方々に対しては、車社会から脱却し賑わいのある中心市街地をつくるための土木計画の重要性をメッセージとして発信している。

以上により本書を高く評価し、土木学会出版文化賞を贈呈する。[:]