読者からのコメント
- 札幌の「さっぽろLRT」メンバー 弁護士の菅澤 紀生 さん
「ご著書には感銘を受けました。・・・以下略。海外のまちづくりを紹介する本は一般に、工学系、法律系問わず、学者のものは技術や理念に過ぎ、生活者の観点からのものは物足りない感じがしますが、藤井さんの本は政治、制度、生活のあらゆる面から構成されていて、充実度合いが違いました。」
「札幌では長年の検討の末、やっと既存の路面電車の延伸がなされます。まだまだ中途半端なものなので、市民の理解が必要です。ぜひとも藤井さんの講演を札幌で実現したいと思いますので、ご協力願います。」
- 大阪の読者
「ストラスブールのまちづくり」買いましたよ!データも付いてわかり易い良書です。今、大阪の堺でもチン電(旧阪堺線)の存続をめぐって議論しています。 最近の高架式の駅は、改札入ってからが遠いから、お年寄り(だんだん我々もその仲間に・・・)向きじゃないですね。ナンバ髙島屋や北浜三越に、チン電で行ってたころが、なつかしいです。
- 青森の読者
ストラスブールの地域をあげた町づくりの取り組み、とても興味深かったです。スト ラスブールに行って、トラムと人々が行き交うゆとりある風景を眺めてみたいと感じました。まちづくりについての内容ですが、これは様々な事象に関しても、同じなのはと思いました。きちんと計画をたて、情報を公開し、みんなで価値観を共有し、未来へ進む。「何よりも大切なのは住民との対話」であり、「みんなが住みよい街づくりを目指す」という考え方は会社の運営にも置き換えられますよね。藤井さんの著書は「もしも野球部のマネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」と同じくらい参考になりました。
- フライブルグの環境ジャーナリストの村上敦さんからのメッセージ
『ストラスブールのまちづくり』拝読させていただきました。非常に面白かったです。こちらこそ、お話させていただく機会があれば嬉しいです。
- 読者のお声を以下のブログからご紹介させていただきます。(原文のまま)http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-765.html 2012/02/17
ヴァンソン藤井由美『ストラスブールのまちづくり』を読んで、日本でのLRTの導入は困難ではないか、もっと道路などの既存公共ストックを活用した低コストの仕組みを検討すべきと思った。
フランスのアルザス地方にあるストラスブール、最新鋭の低床型LRTトラムで有名。アマゾンの推薦で購入。
この本は、通訳の藤井さんが、書かれているが都市計画を考えるうえでも、大変有益、専門的なところまでよく掘り下げている。
ちなみに、自分は、路面電車が好きで、自宅も東京の世田谷区を南北に走る世田谷線沿線に購入して、毎日世田谷線で楽しく通勤している。
その路面電車好きの自分なのだが、この本を読んで、日本でLRTを新規に導入することは難しいのではないかと思った。
その最大の理由は、ストラスブールのトラムが利用者からの営業収益が運営費用の23%しかまかなえないという事実。(p74)ストラスブールでは、残りは税金(法人への追加課税など)で補填しているが、このような事業が日本の市で理解されるだろうか。
あと、ストラスブールは、人口増が続いているが、日本の都市は大都市圏の一部を除いて、人口減、工場の海外転出に伴う工場の閉鎖などが続いており、それに伴う税収減も予想される。
そのような都市と都市経済の縮退に直面する、もしくはこれから深刻化する日本の各都市で、トラムのような長期的投資でかつ撤退も難しい投資事業を新規に起こすことは、すでに事業化したり、事業着手している都市を別にすれば、通常の市長であればしりごみするだろう。
やはり、かっこういい事業ではなく、今ある、道路などの公共ストックをうまく利活用する、低コストの仕組みを考えるべきではないか。
自分が今、考えている点。
(1)日本は自動車の環境技術は最先端をいっていることから、環境問題という点では、自動車を忌避する必要はないと思う。特に、公共交通ということでは、バリアフリーの低床バスをもっと活用できないか。
(2)バス交通の定時制を確保するためには、交通規制との連携が不可欠。バスレーンの設置など。このために、交通規制権限を警察から市町村など地方公共団体に委譲する。
地方分権の議論でほとんど話題にならないが、日本の交通規制権限は、おそろしく中央集権的で、都道府県道、市町村道の交通規制でも、まったく知事、市町村長が口だしできない。また、道路管理者たる地方公共団体と同じような情報提供施設などを地方公共団体の意向と関係なく、警察がどんどん道路に設置している。これはおかしくないか。みんな警察が怖くて口をださないが、都道府県道や市町村道の交通規制は地方公共団体に委譲すべき。そうしたら、例えば、自転車の交通規制などももっと柔軟にできて、地元のサービス向上につながる。
(3)ストラスブールでは社会的な分離(要は人種的な地域分離)の問題もあって郊外の衰退した地域に路線を延ばして行っているが、日本には幸い人種的な地域分離の問題はない。地方都市の郊外では高齢者の買い物難民化が問題になっているが、これは、短期的には民間ベースの宅配分、移動販売車のような対応、長期的には、高齢者がまちの中心部に移住してもらう促進策を考えるべきだろう。
その意味で、ストラスブールのような人口増加都市で拡大をおさえるコンパクトシティではなく、郊外団地の宅地を少しずつ緑に戻しながら、まちの真ん中に移住してもらう、都市を小さくするコンパクトシティを考えるべきだろう。
ストラスブールのトラムはすばらしい一色の本だが、日本に導入することについては、むしろ大きな疑問とそれに伴い代替策に関わる課題を思いついたので、列記した。かなり、過激なこともいっているので、有識者の批判をお願いしたい
- http://d.hatena.ne.jp/gakugei_today/20120521/p1より引用 2012-05-21『市街地再開発』5月号で『ストラスブールのまちづくり』紹介
全国市街地再開発協会『市街地再開発』505号(2012.5)で『ストラスブールのまちづくり』の書評記事を掲載いただきましたので、同協会のお許しを得て転載します。
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本書に推薦の言葉を寄せている京都大学名誉教授・青山吉隆氏の言葉を借りれば、「ストラスブールはまちづくりの聖地のような都市である」。そのストラスブールのトラムを活かしたまちづくりに最も詳しい日本人による著作が、本書である。著者の藤井さんは、長年欧州で通訳・ビジネスコンサルタントとして活躍されている方だが、多数の日本からの視察の受入を担当する中で、交通政策への関心を深めていったという。ストラスブールの交通政策に関する専門的な研究報告の類は勿論多くなされているが、本書のように生活者としての視点から総合的に語った本は例がなく、特にまちづくりが専門でない人にも読みやすい内容となっている。
本書では、典型的なクルマ依存社会だったストラスブールが、いかに自動車の流れをコントロールする世界最先端の交通政策を採用し、歩行者・自転車・公共交通優先のまちなかを実現するに至ったのかが、関係する市長・専門家・市民の声を織り交ぜながら紹介される。交通政策の背景に一貫して流れる考え方や、「コンセルタシオン」と呼ばれる地域住民との合意形成の手法、トラムを軸にしたコンパクトなまちを実現していく経緯など、日本の現状と比較しながら読むと参考になることが多い。特に、何百回と開かれ、市の責任者が市民と直接議論する「コンセルタシオン」と日本の「○○審議会」「住民説明会」「ワークショップ」を比べれば、我々の「民主主義」がいかにお粗末な模倣品に過ぎないかを痛感させられるに違いない。
まちづくりの大きな要素の一つは、「増えすぎた自動車をどう扱うか」である。この問題への一つの解答を提示している本書は、「まちづくりの入門書」としても最適なものとなっている
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