4年前の東京オリンピック閉会式のあとに放映された、パリの歴史建築物の屋根をアストリート達が駆け抜けるパリ五輪の紹介ビデオの魅力は衝撃的だった。そのビデオはパリ五輪では,パリ市内の既存の建造物やスペースを競技会場に利用するとのメッセージでもあった。
パリ五輪では、フランス全土に35の会場が設けられ、選手と数百万人の観客を迎える。パリ市の発表によると、会場の95%が既存の建造物の活用、或いはまたは仮設インフラで、選手村から半径10km圏内に30種目が行われる。85%の選手が競技会場までオリンピック選手村から30分以内に移動できるとしており、これらのオリンピック・パラリンピックの競技会場は、2020年12月17日に「パリ2024理事会」(オリパラ大会組織委員会委員長、パリ市長など 34名で構成。そのうち20名がスポーツ界の代表者)によって正式に承認された(競技はパリだけでなく、ナントやマルセイユなどの地方都市でも開催される)。
サッカーのワールドカップなどが開催されるフランスの競技場として最大規模のスタッド・ド・フランスはオリンピック期間中、史上初となる紫色にライトアップされ、陸上競技場としてのトラックも紫色になると発表されている。この色の選択は、2024年パリ大会のグラフィック憲章と関連している。
コンコルド広場は全面的に改装され、BMXフリースタイル、スケートボード、ブレイク、3×3バスケットボールのイベントが開催される。バリケードが回りに張り巡らしてあり、なかなか簡単に広場全体のレイアウトが見えないが、あの広大な広場から車を完全にシャットアウトして五輪会場にする発想には驚く。
セーヌ川をはさんでコンコルド広場の対面にある左岸の国会議事堂の正面には、ギリシャの彫刻群にサーフィンやテニスラケットを持たせたインスタレーションアートがあり、フランスらしくお洒落な趣向だ(同じことを日本の国会議事堂で想像できないことを思えば、発想の斬新さが伺われる)
エッフェル塔のふもとにあるトロカデロでは、ウォーキングとロード・サイクリングのイベントが開催される。フェンシングはグランドパレスで、弓技は廃兵院(アンバリッド)で開催される。パリで最もゴージャスな橋の一つであるアレキサンダー3世大王橋には、自転車競技やマラソンスイムの舞台にもなる。
パリ市内ではないが、ヴェルサイユ宮殿では、特別な環境の中で馬術競技を開催し、最大16,300人の観客を収容できる。
何よりも注目されるのはセーヌ川での3時間に及ぶ7月26日の開会式で、160の船がパリ西のオステルスリッツ駅からトロカデロ宮殿まで6Km河を下り、206の代表団、約10500人アストリート達が参加すると発表されている。今年に入ってから本格化したオリンピック向けの工事だが、パリ市内では260ヵ所の設営のための工事現場があると言われている。競技会場付近では車両が通行止めになり、6月後半からはセーヌ河畔敷での設営も始まり、例年のパリビーチ(セーヌ河畔に砂をひき、パラソルやビーチチェアなどの海浜施設を整備して、無料で利用できる)は今年は見られず、わずかにセーヌ河畔右岸の東部にレストランや散歩道を残すのみである。
さて、街中の施設をこれだけ利用するとなると、交通規制はどうなっているのか?続けて見てゆきたい。
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