- 6月に帰国した折に、大阪万博に1日だけ行ってきた。万博の見どころや賢い過ごし方については、多くの人がすでにSNSで発信しているので(私自身もそれらの記事を参考にして訪れた。何しろ1日しかないので)、ここでは私自身が乗ってみた万博のマイクロ・モビリティを中心にまとめてみたい。
- 万博への交通機関については、東ゲート派、西ゲート派に分かれているが、大阪出身の私としては躊躇なく慣れ親しんだ御堂筋線本町から中央線に乗り換えて東ゲートに。ご参考までに東ゲートでは午後12時くらいからはほとんど行列が無いので、入場時刻は12時以降に設定するのも良いだろう。そうすれば美しい夜景までゆっくりと会場に残れる。
- 東ゲートの北にあるアクセシビリティセンターに隣接するダイハツのパーソナルモビリティ貸し出し場所に行く。ちなみに「車いすや歩行補助器具等の貸し出し」アクセシビリティセンターにはパーソナルモビリティは無い。パーソナルモビリティ貸し出し場所は、センターの西側に隣接する別の建物にある。しかし一旦このセンターに一度入ると(東ゲートから入るとすぐにはダイハツコーナーは見えないので、アクセシビリティセンターに入ってしまう人がいる)、再度東ゲートの外から再入場になるのは余り親切な案内ではない。幸いに係員(会場サービスアテンダントと運営スタッフに分かれており、それに会場ボランティアが加わる)が至る所にいて、質問に丁寧に答えてくれるが、日本語で聴けない人は困るだろう。

パビリオンの予約方法が恐ろしく煩雑、非効率であり、いろいろと批判も多いEXPOであるが、このマップは良くできている。当然と言えばと当然だが。(この写真は全体マップの一部)。しかし、このマップを見て、パーソナルモビリティのレンタル場が、アクセシビリティセンターの西にあると理解できる人がいるだろうか?
- パーソナルモビリティは、「長距離の歩行が困難な方の移動をサポートする」とマップに明記してある。さてダイハツコーナーで1時間ごとに行われる抽選で、20台くらいのパーソナルモビリティが希望者に割り合てられる。私が行った日の当選率はほぼ2分の1。最大貸し出し時間が4時間なので、延べで計算すると1日にかなりの人数が体験できる(ダイハツによると150台を用意している)。抽選は「一般の人」と「65歳以上、歩行に些少がある人」用に2つの箱があり、その結果借り手の半数くらいが高齢者になる。抽選にあたってすぐ出発するわけではない。30分間くらいの簡単な講習を受ける。グリップを手前に廻すと時速4kmで稼働。グリップ力を少しでも緩めるとすぐにパーソナルモビリティはストップするので、操作に慣れる必要がある。

アクセシビリティセンターに隣接するパーソナルモビリティe-SNEAKER(一人乗り4輪) の貸し出し場所
- パーソナルモビリティと地図(ネットでもダウンロードできるマップは必需品)で移動しながら、大リンクに登れるエスカレーター近くの駐車場に止めて、リンクに登り、会場の全体像を把握し、また行列の少なそうなところも目星をつけておく。パーソナルモビリティを運転していて思ったのは、対面から歩いて来る歩行者は案外前を見て歩いていなくて(皆会場きょろきょろ、地図、スマホを見ながら歩いている)、結構危ないな、という感じた。しかし、個人的には東京で足をくじいて歩行が困難だったので、パーソナルモビリティがあって本当に万博を楽しめて大満足であった。パーソナルモビリティを利用しても公共交通利用などで15000歩一日で歩いたので、もしパーソナルモビリティがなければ、万博の全体像を見るなど、到底不可能であっただろう。一般的な利用法としては、この乗り物は公共交通のバスなどを降りてラストマイルの解決策には十分に可能と思われる。ただ、逆にバスに乗り降りができるなら、パーソナルモビリティに乗らなくてもラストマイルは自分で歩くか、自転車か軽自動車に乗れるだろう。時速4㎞というのは大変ゆっくりである。どんなケースでパーソナルモビリティが有効であるか、などを考えながら移動した。パーソナルモビリティ「e-SNEAKER」の評価についてはネットでも多様な意見が出ているので参考にされたい。

マップにパーソナルモビリティの駐車位置が示されている。各所に配置されていてありがたい。

どんな角度から見ても、どの時間帯も美しい大リンク。これだけでも万博に来る価値があると言われているそうな。

大リンクの上から見たフランス館(左)と、アメリカ館(中央)。この二つのパビリオンとイタリア館の行列はすさまじいものであった。

超未来的な建物だけではなくて、エコなパビリオンもあった。

万博会場の至る所に、斬新なデザインのトイレが用意されていて、またベンチや給水機などにも細かい工夫がされており都市デザインの可能性を至る所で感じれるようになっている。
- さて、万博のテーマでもある「未来の生活・フューチャーライフゾーン」は、メイン会場からかなり離れた西ゲート側にパビリオンが集中しており、秀逸な日本企業が時間と予算をかけて用意したパビリオンが多いと聞いている。残念ながら抽選方式なのですべてのパビリオンを回ることはできないが、運よく是非見たいと思っていた「未来の都市」が当たった(これについては続編で)。パーソナルモビリティはすでに4時間乗りつくしたので返却して、eMoverと名付けられた電気バスで東ゲート側から西ゲート側に移動する。なぜか、西ゲート行きのバスはパーソナルモビリティ貸し出し場所の隣にあるeMover東ゲート北停留所からは出ておらず、会場(徒歩15分)を東西に横切って東ゲート南停留所まで移動する必要がある。何か運行上の理由があるかもしれないが、本当に足腰が悪い人に余り親切なバスサービスではない。またマップにeMoverの乗り方についての説明もあるが、余り分かりやすいとはいいがたい。

ここでもマップの説明ではなくて、電気バスの乗り方については各所にいるスタッフの方々の説明の方がわかりやすかった。
- eMoverは関西万博で運行する会場内・外周バスで、OSAKA METRO社が運行させているが、そのサイトによると会期中に全車両をEVバスで運行し、うち3台の小型EVバスは自動運転レベル4相当で運行、6台の小型EVバスは走行中給電の技術実証を行うそうだ(地面に埋め込まれた送電コイルの上を走行することでバッテリーに給電)。残念ながら私が行った時には自動運転レベルの運行には出会わなかった。Osaka Metro社は 、「e Mover」以外にも、「舞洲パーク&ライド」「桜島シャトルバス」に約150台のEVバスを導入しているそうで(こちらの方は大型バスもあるようだが、私は乗っていない)、「エネルギー効率改善・脱炭素」の実現を目指す姿勢を示していると言える。

電気充電設備を併設した駐車場の前が、eMover東ゲート南停留所。バス停のデザインが秀逸で、暑さ対策として霧ビームが右の停留所サインのパネルから出ている。ここでもスタッフが丁寧に案内してくれる(現金使用不可。交通カードを利用)

太陽光電パネルがずらりと並ぶ前を走行する、電気バスの景観は少し感激するくらい美しい。15分に1本の運行だか、夕方の西ゲートから東ゲート行きは立ち席も満員であった。
・まとめとして…個人的な感想だが、e-SNEAKERは、乗り物としては多くの可能性を秘めていると思うが、万博で不特定多数の来場者に未来のモビリティ手段としてアピールするなら、もう少し利用しやすい仕組みがあっても良かったのでは感じる。もっともまだ開催期間中で、多分利用者のフィードバックを背景に、どんどん、使い勝手が良くなるように今後改善されてゆくことと思う。またeMoverについては、フランスや欧州諸国では100%電気バスは路線バスとして普通に走っているので、特に未来型のモビリティとは言えないが、こちらも環境保全への意識などを来場者に喚起するいい機会なので、バスの車体に日本語で「このバスは100%電気エネルギーで走っています」のようなメッセージを搭載しても良かったのではないだろうか?

夜のライトアップが美しいフランス館
- 最後はまたeMoverで東ゲート付近まで戻り、評判のドローンショーを見て(個人的には大リンクの夜景観の方に感銘を受けた)夜の9時くらいまでいた。もし私が日本にいたら、きっと何回も通って、今回見れなかった外国のパビリオンやフューチャーライフ・ゾーンの各パビリオンを見に行ったことと思う。東ゲートから夢洲駅までの帰路は、「混雑を避けるために」、1Km以上の遠回りの徒歩を義務付けられて、地下鉄駅に着く。それほどの人混みではなかったので、必要な移動方法だとは感じなかった。また駅構内には午前中と同じく、メガホンを持って「右に寄って歩いてください」等を叫ぶスタッフが配置されている。さてもし彼等がいないと、歩行者はそんなに無秩序に歩くのであろうか?と疑問をいだくのは私だけであろうか?
夜10時の夢洲駅構内
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