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「運輸と経済」4月号 運輸業界における雇用と労働条件(前編)

24 04 2022 | Public Transport 公共交通, Publications 寄稿記事

  • 2022年度も連載の頁を持たせて頂くことになった。原稿には徹底したチェックが入るが、書く題材は自由に選ばせてもらっている。おかげでコロナ禍下のフランスの公共交通の状況から始まって、フランス全体の公共交通を様々な角度から調べさせていただいている。この4月号と次号の5月号は、公共交通業界で働く人に焦点を絞った。交通を供給する側にいる人たちは、フランスではどのような働き方をしているのだろうか。

4月号の表紙

  • まずフランスの公共交通を支える地方自治体の財源が、コロナでどのような影響を受けたのかを説明してから、フランス運輸業界全体(鉄道、航空、陸輸送、倉庫業などを含む)の雇用の動きを、フランス環境省の交通白書を元に整理した。2020年12月31日時点で、倉庫業を含む運輸セクターには約140万人の就労者がおり、これはフランスの全就労者の7.6%を占める。運輸セクターの雇用者数は、2015年から2020年まで毎年平均して0.8%増えてきた。コロナの影響で2019年比で2020年は従業員数は、11,300人(全就労者の0.8%)減少したが、フランスの全産業で記録した平均1.5%の雇用減少に比較すれば、運輸セクターにおける悪影響は抑えられたといえる。勿論航空など旅客輸送業界では利用客が減少したので、従業員の減少もみられたが、唯一旅客輸送では、都市内公共交通で、従業員が0.4%(450人)増えた。つまりコロナでも人を雇っているのである。
  • たとえば、2022年1月26日にはRATP(パリ交通公団)が、2022年度に6,700人を雇用する予定であると発表した。6,700人のうち、3,400人がパリ首都圏(イルドフランス州)での採用、そのうち1,660人が正規雇用である。

 

  • こういった事情にはやはり国の後押しがある。政府は2021年度の公共交通整備補助金(今回で4回目)を発表していたが、4億5千万ユーロ(約585億円)から9億ユーロ(約1,170億円)に倍増させ、この金額は、専用軌道を持つ公共交通に対する過去最大規模の補助である。その結果、申請案件199件の85%が補助金交付の対象となった。
  • 補助対象となった都市は、すでにLRTも走行している大都市から、人口6万3千人の漁港カンペール市に至るまで様々。カンペール市は、全国規模で展開する小売り業者約300社が加盟する業界団体プロコスの調査によると、2019年度「中心商店街改善賞」の中小都市部門において74の候補の中から第2位に選ばれている。商店街活性化の取組として、住宅改修計画などの他に、中心街での小型電気シャトルバスの無料サービスを導入した。モビリティは中心市街地の活性化を荷う大きな要素の一つでもある。補助金の対象は鉄道駅を中心とした交通結節拠点整備事業などである。

カンペール市の電気バス

  • 次の5月号では就労者の労働時間や給与について紹介する。

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