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  • 唯一ストラスブール市の中心地に残った、広い路上駐車場のシャトー広場【大聖堂の正面東側】の整備工事が終わり、今年の9月下旬に広場の開所式が行われた。下は2009年の写真。

    以前の広場。 木々の陰から手前は駐車場であった。

  • 2013年10月の写真木が伐採されたので、今まで見えなかった大聖堂の正面東側壁面の彫刻が素晴らしく良く鑑賞できるようになった【実はこの広場の素晴らしさは夜景でさらに映える。カメラを夜は持っていなかった!】。そして、伐採するだけでなく、広場での新しく植林も怠っていない。

また大聖堂の礎石となったヴォージュ山脈の岩石を説明を掲載するベンチを設け、観光客たちが、かつて大聖堂のような作品をてがけた彫刻家や芸術家を想わせる仕組みになっている。

  • この広場は2009年からその整備用途をめぐって、市街地の中心広場ということもあり合意形成が周辺住民を巻き込んで大々的に行われた。また、歴史保全地区に指定されているので、当然、景観保護の条件も考慮された。フランスでは歴史建造物の半径500m以内に入る「歴史的保全地区」に指定された区域では、すべての開発プロジェクトにフランス建造監視官のチェックが入る。だから京都のように「お寺の横にビル」という状況にはならない。その後、ストラスブールに行くたびに「将来はこういう広場になります」というパネルが増え、こんなパネルがずらっと30枚くらい広場を囲んでいた。写真は街の広場再整備の計画を説明するパネルを読む市民。  確かに情報パネルは一番簡単なコミュニケーション方法だ
  • 当時の合意形成のための、事前協議の内容をご紹介する。2010年2月・市当局がシャトー広場を駐車場から歩行者専用に仮整備し、ワークショップや講演会、青少年評議会との会合などを頻繁に行った。説明書配布やホールに集まっての討議だけではなく、実際に現場に市民に足を運んでもらって、土地の新しい活用方法を考えるように仕向けた。子供達におやつタイムを設けて一緒に訪れる親たちの関心を引き、一般の通行人の目にもふれるよう2ヶ月にわたり、広場の歴史紹介パネルを展示しながらアンケートも実施した。アンケート収集箱には約500件もの回答が寄せられ、その90パーセント以上が有効回答だった。 アンケート結果は、市民たちが要望する広場の再活用条件としてまとめられ、イラストや写真入りの親しみやすい資料として公開された。当時の住民がまとめた再整備への基本条件は『広場の静けさを維持し、イベントの開催は厳しい選別基準で吟味する』。 また従来は広場はチケット販売所や観光用ミニトレイン乗車写真の受付、カーシェアリングの駐車場として利用されていたが、これらは設置しないことが要求案に入った。クリスマスシーズンの仮設屋外スケートリンクも却下された。ただし「マルシェ・ド・ノエルの屋台開設は認める」など、住民の要求案件は細部にわたった。 つまり、たかが駐車場を広場に再整備するだけで、3年の合意形成を丁寧に行ってきた。ここで注目したいのは、「どんな用途に広場を整備するか」が合意形成の目的で、「駐車場を広場に転換」する政策のための合意形成ではなかったことだ。
  • 2009年・合意形成のための事前協議を始める。 2011年・広場の整備企画コンペののちに、採用プロジェク決定。 2012年・工事開始。 2013年・開所式

ストラスブールでは現在でも、市街地から『地下駐車場を除いては』どんどん路上駐車場を削減し、中心からかなり離れた外縁部でも、以前は無料だった駐車場が、今ではほとんど有料化されている。ストラスブールで徹底した統一性のある駐車対策を採用できたのは、確かに、都心の駐車場の7割がすでに公営であったことが背景にある。 そして、数的 に優勢であった公営の駐車場に統一した料金体制を適応した結果、市場原理が働き民営もそれに倣ってきた。公営より高い料金や使いにくい駐車場には、市民の 利用がないからだ。つまり、行政が率先して駐車対策を引導してきた。といえる。


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