- LRTとBRTが共存するルーアン市
- 1994年にストラスブールが近代的なデザインの低床車輌トラムを導入して20年。実は余り知られていないが、同じ1994年に大西洋岸側に位置するルーアンという都市でも、トラムが導入された。ルーアン市は人口11万人の小都市だが、近隣の71地方自治体とメトロポール・ルーアン・ノルマンディーという都市共同体を形成しており、人口は約49万人【ストラスブール都市共同体とほぼ同じ規模】で、2012年の予算は7億4千万€。その約3分の1近くが交通戦略に宛てられている。この都市共同体の中に「交通とモビリティー局」があり、35人が勤務している。【下写真は交通局の玄関に置かれたあった模型。窓にスタッフの顔写真が貼ってある】
- ルーアン市の中心にはセーヌ川が流れており、印象派を代表する画家モネが描いた、朝日から夕陽までを浴びるルーアン大聖堂の連作が有名で、バスやトラムの窓にも画家のプロフィールが紹介されているのがお洒落だ。
駅に着くと、かつてはセーヌ川の下流都市として栄えた模様を彷彿とさせる壁画があり、また駅の構内には地下を走っているトラム切符の購入窓口と交通情報がきちんと分かりやすい形で標示されている。鉄道中央駅で、都市域内交通の情報や切符が得られるというのは当たり前のようだが、実はストラスブール駅でも、トラムの駅まで降りないとトラム切符は買えない。
METROと書かれているが、実はトラムであることは、https://www.fujii.fr/?p=3308 で説明したが、1994年当時はTRAMという名前よりもMETROという名前の方が格好良かったわけだ。地下を走行する区域もある為に、ルーアン市ではMETROという呼び方が定着した。時代背景もあるが、フランスでトラムを導入した28都市のうち、これほどトンネルや半地下道にトラム線路を敷設して、トラムのメトロ化に努め、地表景観の再整備の機会を逸した都市はルーアンだけだ。
実は年間1700万人トリップがあり、ルーアン市の南北15km、駅数31で走行するトラムの一部区間(2.5Km)が、地下を走るということが様々な特殊な拘束を生み出しているらしい。
もともとは「都心の地表にはトラム路線を引きたくない」というトラム導入当時の市長の思惑で、地下走行区域が設けられたが、年々厳しくなる防災対策等でかなりのコスト高になっているようだ。
【下写真・鉄道駅に直結した地下を走るトラム】
それでは何故、ルーアンはトラムを1路線だけ走らせて、その後はBRT導入を選んだのだろうか?
ルーアン市の交通路線。南北の青ライン=唯一のトラム(METROと呼ばれている)路線(東西の青いラインはセーヌ河) T1 T2 T 3=トラム敷設の後に導入されたBRT路線
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