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「運輸と経済」12月号 スマートシティ・On Dijon No2

13 01 2023 | Dijon ディジョン, Publications 寄稿記事, Smart City スマートシティ

11月号では、ディジョンにおけるスマートシティ構想実現の現状を、プロジェクトが市民に何をもたらすのか?という観点から紹介しました。12月号ではスマートシティの制御を司るコントロールセンター実働までの過程とそのビジネスモデル、またデータ管理の方法について紹介しています。

どのように人口26万人のディジョン都市圏共同体が、フランスで先陣をきって全市統合型スマ―シティの実装にいたったかを、スマ―シティ構想の起案者で現在プロジェクトの責任者でもあるディジョン・メトロポールの副議長へのインタビューを通して、詳細に説明しています。スマートシティ実装には技術だけでなく、人材と財源の後ろ盾、そして何よりも「誰の為に、何の目的で実装するのか」が明確に設定されていることが重要だと分かります。尚このインタビューはパリ大使館に出向されている国交省の方がたのご協力もあり実現しました。

左から市民ポータル(問合せ)チームのチーフ・アブラハム氏、筆者、オンディジョン起草者のアモー議員、フランス大使館古曳氏(昨年度夏に帰国)、同じく安井氏、パリクレアの神林氏(写真は2022年6月)。

また12月号では、個人データの保存についてGDPRの考え方が浸透しているディジョンメトロポールの姿勢も紹介しています。「EU一般データ保護規則」(GDPR・General Data Protection Regulation)は、個人データ保護やその取り扱いについて詳細に定められたEU域内の各国に適用される法令で、2018年5月25日に施行されました。尚、データ保護についての記述は、私自身はITの専門家ではないので、交通におけるIT活用展開の研究もされている東京大学大学院情報理工学系研究科の伊藤昌毅准教授に内容をご確認いただきました。この場をお借りして、充実した会見と記事執筆につながったことに対して皆様に心から御礼を申し上げます。FIWAREやセキュリティ バイ デザイン、オープンデータや信号制御のセキュリティへのディジョン・メトロポールの対応などについて、メトロポールが公表している資料に忠実に紹介しましたが、もう一度インタビューする機会があれば、さらに詳しく調べたいと思っています。

折しも日経新聞で、日本ではIT実装社会実験を続行しない自治体が多い、という記事を目にしたところです。フランスではテーマを絞ったスマートシティ構想はすでに30都市くらいが行っていますが(たとえば照明だけ、給水だけ等)、全市統合型は現時点ではDijonのみ、今私が住んでいるAngers市も全市統合型の実装準備に入りました。それにしても、行政サービスや業務のデジタル化とそれに伴うフランスの社会の変化は速い。同時に街にはどんどん歩行者空間と植栽スペースを設け、人間的なウオーカブルシティを実現しています。これからもその動きをみてゆきます。

街路樹が植えられた広場や大通りにLRTや路線バスは走行するが、一般車は入れません。歴史のあるまちづくりを大切にするフランスの地方都市は、MaaSやスマートシティへの取り組みにも積極的で、その新旧を大切にするダイナミックな姿勢にはいつも新鮮な驚きがあります。

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