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  • 「運輸と経済」7月号では、2019年12月に制定されたモビリティ基本法、通称LOM法を取り上げました。今まで紹介してきた、国の公共交通に対するサポート策や新規整備に対する公開入札の発表等も、このLOM法の哲学が基本になっているからです。

 

 

  • 189 条から成るLOM法では,フランス社会が直面している移動に関する4つの課題「交通格差の解消」「環境保全」「投資の見直し」「新しい交通手段の利用への適応」に応える形でまとめられています。7月号ではそのうちの「交通格差の解消」と「環境保全」に関する条文内容を、フランスにおける現在のモビリティ状況の紹介とともに、できるやけ分かりやすくまとめたつもりです。日本の交通政策基本法の序文にも書かれた、フランスで1982年に制定された国内交通基本法(通称LOTI法)制定から40年。その法律のおかげで主だった都市における公共交通ネットワークが整ったフランス。現在、移動の80%が依然として車であるとはいえ、今後その車を持たない、運転しない国民も含めて、どのようにすべての国民にモビリティを保障するか、を新しいLOM法では細かく説明しています。これが「交通格差の解消」。

 

  • 環境保全に対しては、自転車利用推進に関する条文が多いのもLOM法の特徴です。その為の予算も確保しています。またマイクロモビリティと言われる電動キックボードへの対策などの他に注意を引くのは、シェアモビリティやライドシェアの推進策。LOM法では道路や駐車スペースの一部をライドシェア(少なくとも2人を乗せた乗用車)用に確保することを認めたのは、私には画期的だと思えます。

パネルが点灯している時間帯は、バス、電気自動車、乗車人数²人以上の自動車のみ、走行が可能なレーンとなる。図はフランスエコロジー省HPより。

  • 変化のスピードが速いフランスの都市政策(交通と切り離せない)は、こういった法律が根本になります。車の使い分けがどんどん進むフランスの姿です。

夏らしい、清々しい表紙。ちょうど当方の投稿レポートにも、フランスの自転車利用推進政策を紹介しています。

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