- モンペリエ市はフランスを代表する公共交通ネットワークを持っているだけでなく、中心市街地を完全に歩行者専用空間化したウォーカブルシティでもある。
中心市街地の広場にあるオペラ座前の賑わい(平日の午後)
・この広場を1960年代から撮影してきた写真家がいる(当時、都市の空中写真を撮影する事業はラシーヌ・ミッションと名付けられていた)。1967年から50年間、オシュグルー(O’sughrue)が撮影してきた写真が、現在工事中であることを知らせるパネルに紹介されており、フランスの都市構造が車社会から歩く人を中心とした街に変遷してきた経緯が良く分かる、歴史的な証拠となっている。
写真家 Claude O’sughrue (以下の昔の写真は、コメディ広場に設置された工事の内容を伝達するパネルの写真を撮りました)
1960年代から70年代は、オペラ座前のコメディー広場は自動車のロータリー空間化していた。
1975年にコメディー広場の地下駐車場の建設が始まった(オペラ座の方向から見た広場)。
1986年に広場の完全歩行車専用空間化が完成した。地下にはパーキング及び迂回用のトンネル道路も整備。広場を走行するのはバスのみとなり、広場の敷石は大型イベント開催に可能な舗装がなされた。
現在はオペラ座を正面にして左側が工事中である。
工事内容を提示するパネルに「広場の歴史」の写真が展示されているが、現在の工事はより広場の緑化を進めるためとの説明と完成図のイメージがあった。
・これはモンペリエ市だけでなくフランス中の都市は、環境保全や夏の気候温暖化対策のために緑化につとめている。つまり車中心の都市空間から歩行者空間の整備、そして樹木が多い憩いの空間づくりと、都市デザインが進んでいる。
中心市街地で見つけた空間。早朝のカフェでは多くの人が朝食を取っていた。車を都心に進入させない(その代わりに都心までLRTやBRTなどの公共交通手段を充実化させる)。緑が多い。これが今のフランスの都市のトレンドである。
そして、夜も、どの界隈も大変賑わっている。この写真はパリやマルセイユで若者の暴動(警官による17歳の少年射殺事件を機に起こった青少年を中心とした暴動で、公共施設や商業店舗などが破壊される被害を受けた)が始まった6月30日に撮影している。日本ではフランス中が危険であるかのような報道があったかもしれないが、実際は殆どの地方都市は普通であった。だが暴動の総被害額は6.5憶ユーロとフランス保険会社連盟が発表しており、決して小さな社会問題ではない。
上の街路と、全く同じ街路の早朝の景観。古い路地でも歩行者空間を上手く活用して賑わいを創出していることが分かる。
モンペリエは壁のだまし絵も多く、散策していて飽きない。
・このような歩行者専用空間の創出には、他都市から訪れる観光客にも分かりやすい「車進入禁止を伝える」ヴィジュアルな標識が必要だ。
街の至る所にある、歩行者優先空間のパネル。この道路は中央駅に近いので自動車は進入できるが、時速20Km制限となっている。
そしてそこからさらに中心市街地に近づくと、やはり至る所に浮沈式ボラードが設置されている。ここは搬出・搬入用の車のアクセスを許すためのボラードが右手に2か所整備されているが、残りの空間に一般車が入らないために、お洒落な石を置いている。
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