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宇都宮市LRTレポート ① 合意形成と車両

13 01 2021 | Actualités ブログ記事, Concertation 合意形成, LRT, Utusnomiya 宇都宮市

  • さて、那覇市LRT導入計画に先行する宇都宮LRT。コロナ禍にもかかわらず工事が進んでいる。本来ならこの冬休みに現場の工事状況視察を予定されていた方も多いと思うが、コロナ自粛と悪天候が重なり、移動を延期されたかもしれません。ちょうど昨年11月晴天の日に、宇都宮市の工事現場を見せていただいたので、写真でご紹介します。
  • レポートに先駆けてお知らせ。ご存知の方も多いと思いますが、12月15日から期間は1月15日まで、ホームページから宇都宮LRTの車両の愛称を決めるために、誰でも投票できます。候補は4つ。「ライトライン」「ウィライト」「ミライド」「ミライトラン」。宇都宮には元来、雷が多く、(雷都)と呼ばれてきたそうです。ですから「雷都」を未来につなぐ、というイメージで、4つの名称候補が説明されています。日本ではLRTはライトレール(軽軌道)と呼ばれてきたので、上手くネーミングを重ねたのでしょうか。

 

 

  • とにかく市民の移動手段の70%が自動車に依存しているという(平成26年度・県央広域都市圏生活行動自体調査)超車社会の宇都宮市なので、まずLRTに親しみを持ってもらうことが一番大切。平成28年度には交通事故の30%が高齢者によって占められている。免許返納を推奨するとしたら、代替えのバスやLRTを利用したモビリティの可能性を行政は示す必要がある。宇都宮市の2016年における高齢化率(65歳以上)は23,2%、2050年には36,6%で、これは日本中で共通した傾向だろう。

一般の人にとても分かりやすく、車やバスに比べての乗り物としてのLRTの特徴とイメージを説明している。(宇都宮市役所で入手できるパンフレットより)

 

  • ただ、LRTへの関心は年代が若くなるほど高くなるが、高齢者ほど車を手放さない傾向がある。そこでこの春にLRTの第一車両が宇都宮に到着した際に、実物大の車両を一つ、人出の多い場所にディスプレイして、市民に自由に試乗?してもらてはどうか、という案も出ていると宇都宮市で聞いた。これはフランスのアンジェ市でも採択されたコミュニケーション手段で、アンジェ市の場合は車輛の中をオフィス風にアレンジして、訪れる市民への質問に答える広報員を常勤させた。また車輛のモックアップの隣には、自転車も設置して、自転車利用のアッピールも重ねて行った(フランスではLRT路線敷設時に、並行して自転車専用道路を整する都市が多い)。宇都宮市も自他共に認める、日本の自転車都市である。

アンジェ市でLRT導入工事中に街中に設置された実物大の車両。今でも公民会館に記念に常置されている。

モックアップ車両の中に設けられた、市民との対話コーナー

  • 大切なことは、LRT工事が開始しても、合意形成の工夫や努力はこれからも引き続けることだ。実際には市民の大半は、LRTにそれほど関心も興味も持っていないだろう。しかし自分の家の前の道路や、普段自分が走行している区域で、工事が始まると反応は違ってくる.特に都市交通導入計画では,事前協議を十分に行っていてもいざ工事が開始されてから,日常生活における道路迂回などに直面して,市役所に駆け込む市民は多いだろう.そのため計画が無事に策定され工事が始まっても,合意形成、市民へのコミュニケーショ対策は必要だ。工事開始後も,工事の進捗状況の周知活動や工事中の車交通迂回を説明する市民対象の広聴会の開催など, 広報の努力が評価される.

 

  • すでに宇都宮市では市役所のホームページなどでも工事中のプロジェクトの説明が大変丁寧だ. 市民の質問に答えるフリーダイヤルの設置や役所の窓口も用意して、「行政の仕事の見える化」を企画の策定から工事の終わりまで徹底させることが望まれる。なぜ行政が、かというと、国が半分を出資するとはいえ、総額約412億円の宇都宮市出資の源は税金であり、また実際に広報任務にあたられる「宇都宮ライトレール株式会社」の出資構成も、現時点では行政は約半分を荷っている。だから、市民には「なぜこのような工事が必要か?工事の結果どのようなまちになるか?」をヴィジュアルに説明することが肝要だ。宇都宮市ではこのような広義での合意形成の努力がいたるところで見られたので、この後も紹介してゆきたい。

統一感があり、とてもお洒落なデザインの車両内部

 

ショッピングセンター・ベルモール前の公園に設置されたミニ車両。

 

 

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