- 宇都宮駅東口地区には、長年ストラスブール市のLRTの大型パネルが、新幹線を降りるとすぐに目に入る位置に設定してあった。
- 今その東側地区では整備が進み、延床面積11485m2のコンベンション公共施設が建設される。
以下1月8日の産経新聞より・「宇都宮市が進めているJR宇都宮駅東口地区整備事業のうち、大規模な会議などが開催できるコンベンション施設(令和4年11月30日供用開始予定)の使用予約受け付けを昨年末から始めている。すでに多くの問い合わせが寄せられているといい、4年春開業予定の次世代型路面電車(LRT)などとあわせて、市中心部活性化につながることが期待される。
同施設は、2千人収容の大ホール、700人収容の中ホールのほか大小13の会議室などで構成。完成すれば北関東では有数の規模を誇るコンベンション施設になる見込みで、東北新幹線停車駅の至近とあって利便性の高さを売りにしている。全館使用については使用の3年前、大中ホール全面使用などは2年前から予約を受け付けるとしていることから、開館を前に手続きを開始した。」
- もう一つ整備地区に予定されていた、民間資本の複合施設(都市型の商業施設でホテルを含む)の方は現在コロナの影響で、出資者が撤退したので、今後の成り行きが待たれる。
- さて、宇都宮市議会ではすでにJR宇都宮駅の西側LRTルートの開発も、長年議論されてきた。宇都宮市は、東西24km南北30kmの広がりをもち、3環状12放射線道路と充実した道路網を誇る地方都市だ。外側の環状道は、山手線とほぼ同じ34.4kmで、放射線道路との立体交差化も進み、都心迂回道路として機能している。市内の公共交通は、南北のJR宇都宮線(市内3駅のみ)、中心市街地から西方面のJR日光線(市内2駅)、南西へ東武宇都宮線(4駅)、(そしてバス)があるが、東西基幹交通がやや貧弱であった。だから今回のLRT計画で、駅を中心に東西が連結することにより、東西基幹交通が充実される。
- まだ西側路線のルートは検討中だが宇都宮市は(2月11日の日本経済新聞では以下の発表「JR宇都宮駅東側で先行整備中の次世代型路面電車(LRT)について、駅西側では栃木県教育会館付近まで約5キロメートル整備する方向で最終調整に入った。総延長は約20キロメートルとなる。ただ、東側区間の整備遅延や事業費上振れに伴う混乱を受け、2020年度中を予定していた公表時期は先送りするもようだ。」)、商店街が広がる西側へのLRT導入は、地区選出の議員さんたちや市民の念願でもある。東側から西側にLRTを通過させるにあたり、中央にJR宇都宮駅があるため、どのような横断ルートにするか検討が重ねられてきたが、東西横断は高架ルートと決まったようだ。
資料は宇都宮ライトレール株式会社提供・
- LRTは駅ビルの北側の新幹線高架下と、在来線の間の2階部分を横断する。JR宇都宮東口の停留所は地上に配置されるようで安心した。ストラスブールが鉄道との交接拠点でLRTの停車駅を地下に設けたことを20年間悔やみ、結局中央駅舎を出た左手の地上にもう一つのLRT駅舎を整備した。既存の鉄道との乗り換えは、駅が高架にあっても便利に整備されると思うが、宇都宮駅を出た時に、目の前に広がる景観の中に、グリーンスペースとLRTの駅舎が簡単に目に入ることが、イメージ的にも重要だし、公共交通潜在的利用者の掘り起こしにもつながる(バリアフリーの乗りやすそうな車両が目の前に走っていたら、乗ってみようか、という気になる。勿論、その際共通ICカードで簡単に支払えることが必須(宇都宮LRTではSUICAが利用できます)。駅前にはできれば、路線バスの発着地点も分かりやすい処に設けてほしい。タクシーも含めて。
- 宇都宮駅から西側も道路幅の広い道路があり、そこにLRTが走行する姿を想像するのは簡単だ。工業団地に移動する就労者(宇都宮市以外からも来る)の利用を見込んだ駅から東の路線と異なり、駅から西の路線企画には、より多くの宇都宮住民の関心を惹くだろう。
- LRT西側への延伸を見込んで、街中の商店街に景観整備を施して、道路に付加価値を与える動きもすでにある。宇都宮市議会の櫻井議長にご案内頂いたユニオン通りは、電線の地中化させ、路面をカラー舗装させて2020年10月に明るいイメージになった。
- 以下東京新聞10月4日、原田拓哉記者の文章から。「「ユニオン通り」は、東武宇都宮駅北側から材木町通りまで、東西に約三百七十メートル延びる。幅員は五・五〜六・五メートル。近くに専門学校などがあり、個性的な雑貨店やおしゃれなファッション関係の店が並ぶ。若い人たちが数多く集まるスポットとして知られている。リニューアルは、市と地元商店街が話し合いを重ねて、若者文化の発信拠点にふさわしい景観づくりを目指した。カラー舗装のデザインは、市の木でなじみが深いイチョウや、宇都宮城がかつて亀が丘城といわれたことにちなんで亀甲をモチーフにしている。街路灯の発光ダイオード(LED)化も進めた。」
- 宇都宮市の人口規模、市予算はほぼフランスのストラスブール市と拮抗する。ストラスブール市では1994年より導入されてきたLRT路線距の全長が今では50Km近くなり、ピーク時には2分に一本走行の路線もある(路線対象人口は広域で約48万人)。年間の公共交通パーソントリップはバスも合わせると1億を超えた。人口28万人のストラスブール市内における車が移動手段に占める割合が、この30年間で約50%から40%に減少し、2030年には30%にまで持っていく目標をたてている。(ちなみに2030年の目標数値は、公共交通17%、自転車11%、徒歩37%、車35%)。30年間、LRTの導入と共に自転車専用道路や歩行者専用空間を整備を行い、歩きやすいまち、移動手段を選択できる都市を構築してきた。ストラスブールが環境先進都市のトップランナーと言われる所以だが、現在では西ヨーロッパのどの地方都市でも同じ哲学(都心での車走行を制御して、公共交通を導入。歩いて楽しいまちづくりを実現して、賑わいの創出)で都市計画を進めている。しかし、最初にストラスブール市がLRTを導入した時代には、誰もそんな将来は予想していなかった。宇都宮市の壮大な交通まちづくりの実験が始まる。コロナで工事の遅延、工費の上昇など、これから乗り越えなければならないハードルは高いが、交通計画を都市計画に包括させた都市政策のモデルとしても、富山市に続く、そして全国に先駆けた新軌道敷設を伴う公共交通へのインフラ投資であるLRT導入政策の完遂を待っている。
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