国政選挙があったが、多分オリパラが終わるまでは現在の内閣が引き続き日常業務を続行することになったフランス。バカンスへの出発が最も多い7月第2週目の週末を経て(7月5日まで小、中学校があるため)、7月14日にパリ祭が行われた。ちなみにパリ祭とは日本での表現で、フランスでは革命記念日として「7月14日祭り」と言う。日中は軍事パレードが行われ(今年はオリンピックの準備があるのでシャンゼリゼ大通りではなく、並行したフォッシュ大通りで)、夜は世界50か国に同時中継される「パリのコンサート」が華々しく開催された。
例年であれば、エッフェル塔をバックにコンサートが行われるが、今年はすでにエッフェル塔付近のエリア(トロカデロとシャンデマルス)はオリンピック会場にアレンジされているために、本年はパリ市役所前の広場とそこから伸びる大通りから車を排除してコンサートが夜の9時から行われた。
コンサートが終わると夜も11時30分くらいに、例年のエッフェル塔を舞台にした花火大会が始まった。今年の特徴は観客無し(同じくエッフェル塔エリアにアクセスできないため)と、1,100機のドローンがオリンピックをテーマにしたショーに使われたことである。
ドローンは様々なオリンピック競技の形を見事に再現したが、しかし、当夜の風向きのせいか花火の煙が例年より多く、ドローンも肝心の花火も余り良く見えなかった、というコメントも多いし、私もそう感じた。
最後に、青い衣装をまとったエッフェル塔の前に、赤いフリジア帽をかぶった共和国の象徴の横顔が描かれた。マリアンヌと呼ばれるこの女性像はフランスを象徴するアイコン。
マリアンヌは、1789年フランス革命の時代に君主制に対抗する人々を守る救世主として登場し、自由、平等、友愛を求める戦いを促し、導いてきた有名な絵画に描かれている女性である。強い女性像であるマリアンヌのはだけた胸は、女性の美しさと命の誕生、国の精神を表し、特徴のある赤い帽子はフリギア帽または自由の帽子と呼ばれている。
いつになくパリやフランスの象徴が強調された花火大会ではあった。花火大会のあとには、パリ市役所の清掃課の職員がオリンピックの聖火を掲げ、市役所の建物の中庭を通り抜け、パリのウオーカブルな現在の写真パネルが華やかに大きく展示されたホールまで移動した。ホールには拙著の「フランスのウオーカブルシティ」の表紙写真とほぼ同じアングルで撮られた写真があったので、やはりセーヌ河畔道路の歩行者専用空間への転用はパリ市の大きな誇りであるようだ(この合意形成のために、2年以上にわたる行政裁判所での裁判を経ている)。
オリンピック開会式まであと11日となった7月14日。現在も聖火はフランスの都市を巡回しており、オリンピック開催初日の26日には、パリに戻りチュルリー公園の聖火台に灯される。オリンピック会場にはパリ市内の既存の建造物やスペースが大々的に利用されるので、競技と共にパリの美しさも満喫できるだろう。
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