[:ja]
- 環境の名のもとに実施されたもう一つのマイカー対策は
2)クルマ登録番号の偶数、奇数で運転日を分ける
- たとえばクルマの番号が : ZZ-532-ZZ の場合は、偶数日にパリで運転できる。 LM-577-ABは奇数日という具合だ。汚染度が高い日には、3.5トン以上のトラックは全面的に通行禁止(救急車、冷凍トラック、タクシー、自動車教習所の路上練習車は除く)。またハイブリッド車、1台のクルマに3人以上が同乗している場合(相乗りシステムのカープーリングを奨励するため)、郵便局のクルマ、ごみ収集車、食材を運搬する車、障害者を乗せた車など、この「偶数・奇数日交代運転規制」の適用外は多くあり、一般市民には分かりづらい。
- この10年来で一番最悪の大気状態といわれた2016年の12月初旬に4日間、この「偶数奇数交代運転規制」適用された折には、パリ県警はウエブサイトに対象外になるクルマを説明し、また無料の窓口電話も設定した。罰金は同じく68ユーロである。なかなかパリ市内で自動車を運転も、駐車も難しくなってきた。実際にパリに出かけるとそれは体感できる。
3)路線バスのヴァージョンアップで、公共交通利用促進
- そして、私のようにパリを30年前から知っている者にとって、大きな驚きはバス路線のバージョンアップである。
①の1 インフラ整備=専用レーン
①の2 インフラ整備=バス停の充実化
今までパリのバス停にはルーフや椅子が殆どなかったが、この2年間で少なくともパリ都心のバス停の大半にルーフが付き(パリ市内で7800のバス停がある)、座るスペースが設けられた。お洒落にすべてガラス張り。その上、運行状況をリアルタイムで知らせる電光掲示板が設けら、夜でも遠くから、バス停の位置とそこに停まる路線番号が良く見える。何分後に自分の乗りたいバスが来るのかも分かる。
②バリアフリー化、快適で大きな運送能力を持った車輌
連接バスがかなり走っている。現在でも液体ガス搭載のバスが140台、ハイブリッドバスが630台、電気バスが実験的に50台走行している。環境を意識して、2025年にはすべてのバス(現在4600台ある)を電気化するそうで、来年度から入札が始まる。(ここでのバス台数や駅数はパリ市内のバス運行事業者であるRATPの保有数字。実際にはパリ首都圏全体には、他の運行事業体が運営するバス路線を加算すると、合計でバス9000台と36600の停留所がある。パリ首都圏の人口1280万人。パリ首都圏の都市交通運営については「フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか」の83ページをご参考にしてください)
③優れたバスロケーションシステム
運行状況情報を提供するパネルがバス停で整備され、スマホで行き先への最適経路を示すシステムも開発された。バス運行状況をリアルタイムでトレースできて、表示される地図も大変分かりやすく、バスか地下鉄か、自分の乗りたい交通手段も選べる。日本でも同類のアプリは存在するが、RATPのアプリは無料で、交通運営が一元化されているので、選択経路による料金の相違はなく移動手段の決断を即時に行うことができる。逆にこのようなシステムに慣れている者が、複数の交通機関が併行して走る「日本の都市交通が利用しにくい」と感じるのは予想できる。日本を訪問する旅行者は(パック旅行の移動は別として)、一様に日本の交通機関の正確性、特に清潔性に驚くが、「しかし思った以上に利用が困難で、運賃も高い」というのが共通した感想だ。
④交通結節拠点での乗り換え情報の充実化
移動の時間が読みやすい地下鉄を今までは主に利用していた私も、「外の景色が見え、地下鉄の階段もなく(パリの地下鉄にはエスカレーター、エレベーターがほとんどない)、5分ごとの「すりにご注意ください」という6ヶ国語のアナウンスも聞かなくてすむ」路線バスの利用に完全にスイッチした。荷物があっても多少ならバリアフリーなので、階段の地下鉄より楽だ。(続く)
0コメント