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ESTセミナー・レポート

11 12 2013 | Actualités ブログ記事, Bus BRT バス, LRT, Route 道路

  • 2013年 9月 18日 沖縄EST創発セミナーで公共交通のあり方についての興味深いお話がありましたので、ご紹介します。(赤字はセミナーでお話された石田先生又は両備グループCEO小嶋氏の表現から) (写真下・ 左端・小嶋氏、右端・石田氏)

筑波大学システム情報工学研究科・石田東生教授のプレゼン表題は『クルマに頼りすぎない環境負荷の少ない交通システム』。まず『車とわれわれのくらし、都市、社会』として車社会の弊害【都市の外延化、CO2排出の増加、エネルギー消費】を数字をもって説明され、好循環への次の3つの視点を挙げ、

  1. 「人の気持ち・意識を変えるモビリティ・マネジメント」
  2. 「まちの形を変える・コンパクトシティへと」の説明のあと、
  3. 「公共交通のあり方を考える」では、一般路線バス費用の維持状況を紹介された。

石田先生によると、「日本全国の一般路線バス赤字系統の赤字総額が2700億円。しかし一方で国際整備基金からの3兆円(10年分の利便増進事業の原資の国債3兆円」)を、高速道路の料金割引(景気対策として)5年間で使ってしまった。1年間で6000億円である。

これに関しては、基調講演2で小嶋光信氏(岡山両備グループ代表・『地域公共交通総合研究所』理事長)も、「高速道無料化で2兆5千億円。 地方の公共交通がすべて『ただ』でも7000億円。どちらが国民目線?」のメッセージで講演を締めくくられている。 (この7000億円という数字は、ちょうど2011年度の乗り合いバス事業の営業収入が約7000億円だったことを意味されていると思う。下グラフ参照)

しかし、たとえ路線バスをすべて無料化したとしても、当然のことだが、バス交通は現在高速道路を利用している交通を代替わりすることはできない。物流の交通手段機関分担では、道路が約9割を占めており*1、生鮮食料品に限れば、100%近くがトラックで輸送されている*2。仮に道路輸送を鉄道輸送に代替しても、公共交通利用 だけでは流通交通のLast One Mileの課題」(駅(貨物ターミナル)から最終需要者までの輸 送距離)が残ってくる。

*1 ( トンベース。トンキロベースでは55%程度。道路に次いで多いのは内航海運で約 40%。http://www.mlit.go.jp/statistics/pdf/23000000×011.pdf

*2(http://www.mlit.go.jp/statistics/pdf/23000000×012.pdf

また、12月10日の国交省関係補正予算案概要で、「高速道路料金の地方休日5割引を6月まで延長」が発表されました http://response.jp/article/2013/12/10/212718.html。「最近の高速道路関係の状況」でhttp://www.mlit.go.jp/common/000145134.pdf、高速道路の料金割引について解りやすく解説しています。

しかし国交省は一般の既存道路については、新しい価値の創造も考案しています。「道路を賢く使い進化させる。」 https://www.fujii.fr/?page_id=2726  www.mlit.go.jp/common/001014905.pdf どちらにしても、都心の再活性化、公共交通利用促進のためには、クルマ利用との賢い共存、道路空間の適切な再配分、駐車スペースの再構成などを軸にした都市空間利用の見直しが必須なので、これからも道路にもっと関心を持ってゆきたいと思う。

さて、現在のフランスの高速道路は11412Km(有料道路約8600Km・無料高速道路2800Km)で、日本と同じくらいの距離。フランスの面積は日本の1.5倍だが、人口は日本の方がフランスの2倍。ちなみにフランスも物流の85%が道路利用の車輸送であり、2009年の環境グルネル法が成立してからは、政府は鉄道利用輸送へのシフトを促す政策を発表している。高速道路整備への予算はあるが、現在新規高速道路建設予定は無く、長距離間の高速鉄道充実化が優先されている。次にフランス国交省の人にお会いした時には、Last One Mileの課題をどう考えているか、聞いてみよう。

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