ページを選択

地方都市の市民音楽祭・夏至の夜に

03 07 2017 | Actualités ブログ記事, Angers アンジェ, Urban Planning まちづくり

  • バカンス(長期有給休暇)に住居を離れる人が多いので、7月15日を過ぎると急にまちの中が静かになるフランス。少し可笑しいのは、常時バカンス状態にあるはずの年金生活者たちも、「これからバカンスに出かける」と発言することだ。つまり、日常空間からの脱出、新しい土地を知ったり、遠方の家族や友人を訪ねたり・・・そういった普段の生活と異なる時間を過ごすことの定義が、バカンスの一つでもある。有給休暇は法定5週間。そのうち2から3週間を夏に消化する人が大半だ。
  • そうした夏のバカンスに入る前に、フランスの自治体は6月にスポーツ祭、音楽祭、演劇祭など多彩な催しやイベントを、7月14日の革命記念日の花火打ち上げまで企画する。幾つかの夏のイベントの写真を紹介したいが、まずはアンジェで6月21日の夏至の日に行われた、音楽の祭典から。1982年から毎年開催される「市民音楽祭」。
トラムも街中は運行中止で、芝生軌道が音楽を聴く会場になる

トラムも街中は運行中止で、芝生軌道が音楽を聴く会場になる

  • テロ対策で、イベント会場になる大通りにクルマが突入することを不可能にするために、トラックが道路を封鎖。

    テロ対策としてイベント会場になる大通りに、クルマが突入することを不可能にするために、トラックが道路を封鎖。

    市民音楽祭は6月の最も代表的なイベントで、どんな小さな自治体でも必ず企画される。アマチュア音楽家たちがジャンルを問わず、まちの道路上や広場で演奏できるが、中心広場には自治体がプロの音楽家を招待してステージを設けることもある。

クルマ椅子の人たちや、ベビーカー、子供連れの人など、あらゆる市民が初夏の宵を楽しむ

クルマ椅子の人たちや、ベビーカー、子供連れの人など、あらゆる市民が初夏の宵を楽しむ。トラムの路線がある道路もコンサート会場に早変わり。

  • 日本の夏祭りに少し似た雰囲気だが、大きな違いは観光客向けイベントではなく、あくまでも市民、住民を対象としていること。だから飲食店を除いては、これだけ人出があっても店舗は一切閉店している。特に経済効果を狙っているのではなく、目的は「まちの賑わいの創出」である。人口15万人都市に、近隣の自治体からも人がイベントに訪れ、活気を帯びている。都心住民ではなく、どちらかと言えば普段はわざわざコンサート会場に足を運ばない、郊外、農村部に住む人口に、音楽を肩肘はらずに楽しんでもらう趣旨もある。この「市民音楽祭」の大成功は、7月から続いてフランス各地で行われる様々な「音楽祭」や「演劇祭」に、バカンスで滞在する人たちも含めて、市民が気軽に参加する文化的な土壌を作った。
拙著「フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか」の表紙写真と同じ商店街です。

拙著「フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか」の表紙写真と同じ商店街です。人、人、人

夜が更けるのが10時過ぎ。こちらは若者が多い野外コンサート。歴史的な古い建物が囲む広場を開放している。

夜が更けるのが10時過ぎ。こちらは若者が多いコンサート。歴史的な古い建物が囲む広場を開放して、ステージを仮設している。

グループ演奏ばかりではなく、静かに歌う女性二人を、静かに聞き入る人たち。

グループ演奏ばかりではなく、静かに歌う女性二人を、静かに聞き入る人たち。

この日のほとんどのコンサートが無料で、街角からはあらゆる種類の音楽が流れてくる。しかし、一応アルコール類販売は夜の11時まで、また音楽演奏も12時までと規制して、街中に住む市民の睡眠権?を守る。街角には、賛美歌から、ジャズ、クラシック、エスニックとあらゆる音楽が演奏されるが、アマチュア・バンドとしては、ロック音楽が一番多かった。7月からは幼稚園から大学まで一斉に休暇に入る。いよいよ、フランスの夏の到来だ。

音楽祭の〆は、太鼓隊。

音楽祭の〆は、太鼓隊。

[:]

カテゴリー

0コメント

コメントを提出

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です