秋の始まり・野外演劇祭(アンジェ市)・公共空間の使い方

23 09 2025 | Actualités ブログ記事, Angers アンジェ, France こんにちのフランス, Urban Planning まちづくり, Walkable city ウォーカブルシティ

・フランスは新学年が9月からで、長い夏の間閉鎖していたオペラ座、劇場などのプログラムも10月から始まります。それに先駆けて、人口15万人のアンジェ市では野外演劇祭が毎年9月第二週末に開催され、フランスではアヴィニヨンの演劇祭に次ぐ規模だと言われています。今年は25周年でプログラムも盛り沢山ですが、基本的に公共空間を利用して行うストリートパフォーマンスが主で、市民が無料で予約の必要がなく気の赴くまま、気軽に足を運べるイベントで名前は「Accroche coeur」日本語的には「ハートをキャッチ」でしょうか。ストリートアートのプログラムには125以上の仕掛けがあり、大規模なパレード、寸劇やコント、アートインスタレーション、サーカス公演、ダンス大会(日本の盆踊りのような雰囲気)、子供たちのためのイベント(遊技場、お芝居)などです。

金曜日の夜に前夜祭として、アンジェ市の中心広場に設置された舞台で、市長及び文化担当の副市長たちの簡単なスピーチで開会式。中央はLRTの駅とその線路。残念ながらお天気が安定しない週末だったが、写真の通り会期の期間中、人出は絶えなかった。赤とグレーのパラソルはカフェ・レストランのテラス。金曜日の夜の大ディスコパーティもこの広場で行わる。(写真クレジット・Photo Thierry Bonnet Ville d’Angers)

3日間のプログラムと、催しものが行われる場所を示した案内パネルが街中、至処で張り出される。勿論ネットでもダウンロード可能で、市街地の店舗先などでは紙ベースのプログラムも備えている。

・フランスでは「都市文化資本」という考え方が浸透しており、都市イメージとブランドの構築には、まちなかに質の高い文化に触れる機会やスポーツ施設を整備することが必要という共通認識があります。「仕事以外の時間をどのように楽しく、かつ安価に過ごせるか?」、そういった要素とレジャー可能度が都市の魅力度を判断する際の大きな要素になり、市も文化政策には積極的で昨年度と同じく、70万ユーロ(約1億2千万円)の予算を計上しています。アンジェ市のこの野外演劇祭については過去にもこのブログで紹介しているので、今回は道路と公共空間の利用の観点から。

大きな劇場前の広場で行われたストリートパフォーマンス。すぐその隣をLRTが走る。

この線路エリアではLRTが通過しない時は、車が線路上に停車されていたが、LRTが通過するたびに写真のように広場まで後退しLRTを通す。

こちら側の線路でも同じように、LRTが通らない時には車を線路上に止めていた。このエリアの線路上には平常時ほとんど車は侵入しないが、社会サービス車(医療スタッフの車や市役所の車など)を時折、線路上で見る。

広場や公園など、公共空間のほとんどがストリートアートのパフォーマンス場として利用される。椅子などはなく、観客は立ったまま観て子供たちはそのまま地面に座り込む、というとても簡素な形。

このパフォーマンス広場の周辺に市が車を駐車して完全に車の往来をシャットアウトし、交差点を含むスペース全体を歩行者専用空間に転用。

車走行を妨げるには、こんな簡単な方法も。

普段は駐車場である広い敷地には、フードコートも設けられた。このフードコートのテーマはECO(環境)で、日曜日に開かれたピクニックの収益は、エコプロジェクトに取り組むアンジェの団体に寄付される。

こういった遊び心も大切。日本ではNG?(写真クレジット・Photo Thierry Bonnet Ville d’Angers)

美術館の中庭でのメリーゴーランド。この写真のアルノ―さんが40年前に自作した手回しオルガンの曲に乗って、その右側にいるブルーのつなぎを着た人がやはり自作したメリーゴーランドを、乗っている子供たちの親ごさんたちが手で回すので!お父さんやお母さんも一緒にグルグル廻ります。

子ども達に大人気。

駐車場のフードコート以外にはキッチンカーが少し出ているくらいで、総じて、ストリートパフォーマンスが行われる場所での出店は少なく感じた。だから長蛇の列?元来、フランス人は余り外食をせず(日本のように簡単に安く美味しいものを見つけるのが難しい。)食事を済ませてから街に来るか、或いは自分たちで用意した軽食を公園などで食べる人も多いようだ。

子ども達の遊戯エリアが多く、木の玩具や昔ながらの複数のプレイヤーで楽しむゲームコーナー。大人も熱心。

大人も子供と同じ目線で遊べる木を中心にした玩具。こういった玩具を貸し出したり、或いは玩具を工作するコースを提供したりする会社がアンジェにある。

子供たちの登校、下校時にGPS機能を持たせるため、11歳くらいからスマホを持たせる親が多くなってきたが、フランスでも子供へのスマホの影響が問題になっており、中学校では登校時から下校時までは学校がスマホを預かる。スマホ無しで楽しめるのは小学校高学年までか・・・

・総じて見ていて思うのは、年齢によるセグメンテーションが余りなく、それぞれのイベントに様々な年齢の観客が混じっていること。さすがに、金曜日の夜のディスコは小さい子供は少なかったですが、それでも子供連れで参加している若い両親もかなり見られました。フランスの地方都市では、年齢ごとにターゲットを絞った飲食店はほぼなく、さまざまな年代の客で賑わうバー、レストラン、カフェがあり、まちに活気があります。

子連れも多かった、金曜日の夜の大ディスコパーティ。大音響が広場に響く。住民の迷惑を考えて、夜12時にピタッと終わる。今さら・・とは思うが、「火吹き男」のパフォーマンスには人気が集まっていた。(写真クレジット・Photo Thierry Bonnet Ville d’Angers)

イベントの最大の山の一つ、エレファントの行列が街中を練り歩く。(写真クレジット・Photo Thierry Bonnet Ville d’Angers)

・10年前に初めてアンジェ市のAccroche Coeurに接した折のブログは以下から。

https://www.fujii.fr/actualites/%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%82%a7%e5%b8%82%e3%81%ae%e9%87%8e%e5%a4%96%e3%83%95%e3%82%a7%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%90%e3%83%ab/

https://www.fujii.fr/actualites/%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%82%a7%e9%87%8e%e5%a4%96%e3%83%95%e3%82%a7%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%90%e3%83%ab2/

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