「バカンスなんてうんざり」とフランスのニュースで紹介された日本の10連休

この頁の写真は、フランステレビ・FRANCE2の画面を撮影したものです。

  • 20190430_131317_resized(参考までに・フランスTV2チャンネルでは、昼、夜のニュースのメインキャスターは女性一人。週末やバカンスには、交代で男性のキャスターが入ることもある。日本のように、男性+女性という2人体制ではない。)
  • 阿部総理大臣とマクロン大統領の会談は全くフランスのテレビニュースでは報道されなかったが、令和元年への移行と10連休については、昼、夜のニュースでどのチャンネルも伝えている。30年続いた平成天皇の退位の儀式が10分間であることには、驚いたようだ。またフランス2(夜8時のニュースが、日本の夜9時のNHKニュースに相当)では、ほとんどの公的機関もお休みに入る10連休が、必ずしもすべての日本人に歓迎されていないことを伝えている。
  • フランス人は5週間の有給休暇をすべて消化するが(日本人の年間有給休暇の消化日数は9日しかないことも紹介している)、職員は順番に休暇を取るので、役所も銀行も10日間連続して閉まるというような事例は無いので、注目したのかもしれない。

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空港の混雑ぶりを見せて、この連休の間に、5人に1人の日本人が旅行に出るとコメント。ノルマを果たすように観光したり、家族サービスをする、という感覚が余りないフランス人には、奇異に映るようだ。

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  • フランスのTVでは、「僕はお金が無いので、旅行にも行けないし、むしろ10連休も働きたい」という日本男性のインタビューを紹介していた。
  • フランスでは経済的に恵まれない人を支援する旅行システムが整っており、社会ツーリズムと呼ぶ。低所得者向けのバカンス用共済施設があり、また、子育て世代の低所得所帯のバカンスを助成するために、バカンス小切手というシステムがある。就労者は給与から毎月バカンスのための積み立てを行い、これを基金として、雇用者側が補填金を補足して、バカンスクーポンを発行する。金券と同じ価値を持ち、加盟している交通・宿泊機関やレストランで利用できる。日本企業で毎月給与から、親睦会積み立て金額が天引きされるシステムと似ているので、福利厚生の一つと考えても良い。また日本でもかつては企業が、海の家や山の家を保有し社員に開放していた。だが、フランスでは同僚と旅行に出かけるという発想はない。
  • ちなみにこのクーポン形式は、社員の昼食にも採用され、食堂を持たない企業はレストランクーポンを発行する義務がある。こういったクーポン券を貯めて、バカンス中にレストラン行くフランス人も多い。企業にはバカンス小切手を用意する義務はないが、2011年には2万の企業が取り入れている。また2014年にはバカンスに出たフランス人の23%が、このバカンス小切手を筆頭に、何らかの公的援助を得ている。企業の貢献や公的援助で、出来るだけ多くの子供たちがバカンスに出かけられる仕組みで、こんなところにも、フランスの「連帯」意識が浸透している。 
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  • また、日本では「休暇=消費」ととらえられていることも、TVで語っていた。

フランスでは必ずしもそうではない。家でくつろいでいる人も結構多い。

4日間以上続けて自宅を離れることをバカンスと定義した場合、経産省の統計では2015年で60%のフランス人しか、バカンスに出かけていない。だから、フランス人全員が長期休暇を取って海や山に行っているような理解は正しくない。ただし、自宅に残る人達も、会社を休まないわけではなく、少なくとも給与所得者は5週間の有給休暇はすべて消化する。夏季に3週間、年末に1週間、春に1週間と休暇を取るケースが多い。学校の夏休みは2か月で、その間、登校日も部活もない。街のパン屋からレストラン、すべての個人店舗が、7月か8月のどちらか、一か月の間、閉店する様子はやはり圧巻だ。特に8月1日から15日までは、文字通り地方都市でも戒厳令下の如く人がいなくなり、まち全体が眠ったように静かになる。本当に、みんなバカンスに出かけるのだ、と感じさせられる。さすがに、スーパーマーケットは一年中開業しているが、小規模なところは夏の間は12時から3時まで閉店する場合が多く営業時間が短くなる。一年中営業している日本のデパートなどは、フランス人には想像が難しいだろう。

アルプスの中でも、ひと際、高くそびたつモンブラン

アルプスの中でも、ひと際、高くそびたつモンブラン

  • さてフランス人がバカンス先を選ぶ折に、最も重要視するのが「生活環境」だ。景観が良く、快適で安全な生活ができるバカンス先を、50%が第一の条件に挙げている。それから、イベントや文化施設の充実度が20%と続く。近年、国や地方自治体が、どんな小さな村でも夏の映画祭、音楽祭、さまざまなイベントや博物館整備に補助金を出しているのは、地域全体の魅力を向上させて、来客増加を図るためだ。行先の50%が、依然として地中海、大西洋などの海沿いだ。25%がアルプスやピレネーなどの山間部に行く。いわゆる海も山もない平地である農村地帯、田園、田舎を、滞在先に選ぶのは13%だ。それでも多分この数字は、日本の農村にとっては羨ましい数字だろう。ちなみに、ここで言う農村とは、地方の祖父母の家に帰村するケースだけでなく、いわゆる民宿やホテル滞在も含む。
  • (この頁の記述の一部は拙著「フランスではなぜ子育て世代が地方に移住するのか」から引用しました)

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