・まだコロナの影響が街に濃く残っている2021年4月から、2年間お任せいただいた「運輸と経済」の海外レポート連載もこの3月で一旦お休みを頂く。欧州では2023年の今では街は、コロナ以前と全く変わらない賑わいを見せている。ロックダウンを経て、人々はまちに出て来る楽しみを満喫しているかのようだ。マスクをしている者は、もう誰もいない。
・連載の最終号は、都市空間の再編に取り組む、小規模人口のフランスの自治体を取り上げた。人口7万5千人の大西洋岸に面したラロシェッル(La Rochelle)市は、1992年世界初のカーフリーデイ発祥地として有名で、ご存知の多いだろう。昨年度の9月に運輸総研の調査グループの先生方と訪問したが、私がかつて知っていた、大西洋岸の都市特有の低い白い建物が並ぶ特に個性を感じなかった街は、見違えるように変わっていた。
・ かつでは2車線道路は、2015年に自転車専用道路と歩行者専用空間化され、平日の昼も夜も賑わっていた。もうこのようなBefore-Afterの事例は、フランスでは多く紹介されてきた。しかし、これは人口がたかが7万5千人、都市交通計画を広域で策定・整備している広域自治体連合でも17万人しかいない。当然自治体予算も限りがある。しかも中心市街地約25㎢全域で歩行者優先化(道路のほとんどが時速制限30㎞)を敢行した。
・そして車を排除したために、中心市街地にアクセスするために、自治体が運営する路線バスとシェアサイクルが利用しやすいように、徹底した施策を取った。モビリティに関する記述は2月号、歩行者優先化についての記述は3月号に掲載した。
・ラロシェルは観光都市(イギリスからの観光客が多い)なので特別だ、と言ってしまえばそれまでだが、しかし、日本の地方にある人口10万人規模の観光都市で、車を全く使わずに、簡単にわかりやすく徒歩、自転車、路線バスで動き回れる所があるだろうか?
・「運輸と経済」の最終号は、やはり「モビリティ再編を伴った公共空間の再編成」がテーマになった。道路空間の再配分なくして、都市空間の再編成はできない。これからしばらくはこのブログでフランス各地の写真を紹介してゆこうと思う。長い間、「運輸と経済」誌をご購読してくださったかた、ありがとうございました。
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