ページを選択

今夏のナント市 ”Voyage à Nantes”

30 08 2024 | Actualités ブログ記事, Nantes ナント, Urban Planning まちづくり

・かねてからナント市の「Voyage a Nantes」については、多くの機会で紹介してきた。2012年から毎夏行われている野外アートのイベント、「ヴォワイヤージュ・ア・ナント(ナントへの旅)」のプログラムのレベルの高さには定評がある。都市そのものを劇場とみなして、大がかりな複数のインスタレーションアートを中心市街地の複数の広場に設置し、美術館に足を運ばずとも住民が芸術作品を鑑賞できる。コロナの間も続行され、今年も7月6日から9月8日まで(ほぼフランスの学校の夏休みと同じ時期)に開催された。

・本年のテーマは「都市における木」で、街の中に設置された作品を通じて、「都市と自然」についての考察をそれぞれが行うことを意図するイベントと説明されている。

インターネットでもダウンロードできるが、ナント古城前の観光協会に行くと、アート作品の説明書付きのマップを入手できる。緑のラインに沿って歩くと、主だった観光拠点も訪問することができる。

街中の舗道にはくっきりとグリーンライン。

オペラ座があるグラスラン広場の最もインパクトがある作品。作り手のブラジル人、ヘンリケ・オリヴェイラは、「人間の建造する人工物と野生の自然との境界線に疑問を投げかけ、しばしば取るに足らないもの、はかないものと見なされるものの中にある環境や美に対する私たちの影響を再考する。」とガイドラインで述べている。

作品の下を普通に住民や観光客が歩いている景観。

もう一つの高さ5mのインパクト作品。半人半植物である「ハイブリダス」は、アーティストの自画像でもあるそうだ。作品が置かれたロワイヤル広場は石畳みで、この鉱物のような環境で、人間と植物が共生する未来を待ち望んでいるというメッセージを、伝えているとのこと。

 

・今年は、駅前の公園や、産業遺産地区ナント中ノ島での展示では、過去のイベントで人気のあった作品を再展示する姿もあった。

写真の右側のメッセージ「月の上を歩こう」。子供たちがトランポリンで元気に遊ぶ。

小粒だが、良く見ると興味深いブロンズ像なども、市街地の随所に。噴水の水を飲もうとする少女。後ろの2人の女性の自然なポーズも、日本の女性には余り見られない様子?

・さて、交通先進都市の一つであるナント市(フランスで1987年に初めて近代的なLRTを導入した。しかし、完全低床車両ではなかったので、日本では1994年のストラスブール市の導入の方が有名)では、いつ行っても、モビリティに関して新しい発見がある。

街中を、至る形の運搬用自転車が走っている。

・今回はつい最近、運行オペレーター事業者の名前が長年の名称TANからNEOLIBに変更され、そのメッセージを電停などあらゆる処で見た。実際にはまだ旧名称のTANと混在しているが、徐々に新しくなるのだろう。従来の公共交通運営に加え、今後はレンタルバイク(かつてのBicico)や駐車場管理も含めてトータルでモビリティを管轄してゆく。

かつてのTAN営業所(住民が公共交通の定期券などを購入する)のロゴも、明るく一新された。(2024年8月撮影)

 

公共交通、自転車、自動車、徒歩を含むモビリティのメッセージが分かりやすい

職員のユニフォームはすでに新しい

ナント中ノ島で、新しい住宅地区を見ていたら、マンションとマンションの間から、お馴染みの機会仕掛けのマシーン像の姿

マシーンがあるエリアは、つい最近住宅開発を終えた。建造物群の階下には必ず商業店舗を誘致する、などの条件をつけて自治体がデベロッパーと開発。その詳しい内容は、9月末に「不動産学会誌」で発表します。

・最後にすっかり様子が変わった、ナントの交通結節拠点コメルス(COMMERCE)駅、ナント市の中心部では最も人の出入りが多い拠点(2024年6月撮影)の一つ。かつてはコンクリート平面であった、電停と建物の間に1年以上かけて植栽空間を設け、本当に「都市の中の緑」を再現した。そして、従来進めてきた厳しい駐車規制の結果、本当に都心に車を、見かけなくなった。

カテゴリー

0コメント

コメントを提出

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です