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パリの変身3・都市交通の多様な形

18 02 2017 | Actualités ブログ記事, LRT, Paris パリ, Urban Planning まちづくり, Walk zone 歩行対策

4)多様化する都市交通の供給

  • パリ首都圏の交通政策は、イルドフランス交通事務組合が一括して策定している。路線、運賃を決定し、将来の交通計画を策定し、実際の運行はSNCFやRATPに委託している。パリ都市交通供給は非常に多様化してきており、その利用度も郡を抜いている。
  • LRT 8路線  105Km   187駅       1日のパーソントリップ2億2300万人
  • カメラに収まりきれない長さのパリのLRT.普通の電車と変わらない輸送能力を発揮。全長43.4mのアルストム製CITADIS

    普通の電車と変わらない輸送能力を発揮する、全長43.4mのアルストム製CITADIS車輌のパリ環状線T3bを走るLRT

  • 地下鉄16路線 215Km      301駅   年間パーソントリップ15億2600万人(うち2線が無人運転 )
  • バス1510路線 25000Km 36597駅 年間パーソントリップ13億3800万人(9035台のバス )
  • BRT 1路線 (TZEN)  14.7Km    12駅    2011年よりパリ南東郊外Senat-Corbeil間で運行
  • RER (郊外に伸びる地下高速線) 5路線  15250Km      448駅           年間パーソントリップ12億1100万人
フランスで初めて見たSNCF社員以外の案内要員

フランスで初めて見たSNCF社員以外の駅構内案内要員。もともとフランスの駅に日本のような駅員はいなかった。最近はTGV乗車前に、車輌入り口で乗車券をチェックすることが多くなったため(信用乗車のために改札がない)、「質問を出来る駅員」が増えた。

利用者に対するサービスはどんどん向上している。赤いジャンパーの背中には「人の流れの調整役」と書かれているが、観光客が多い駅での案内役である。

利用者に対するサービスはどんどん向上している。赤いジャンパーの背中には「人の流れの調整役」と書かれているが、観光客が多い駅での案内役である。

 

 

 

 

 

 

 

【以上掲載数字の典拠は、STIFアニュアルレポート2015年版】

 

5)歩行者専用空間と自転車専用道路整備が進む、総合的な都市交通計画

  • 2007年から始まったシェアサイクルのヴェリヴは、各所で紹介されているが、2016年時点で、30万人が年間登録、1分間に75台が利用されており、1220ステーション(駐輪拠点)が整備済みだ。(「フランスの地方都市にはなぜシャッター通りが無いのか」52から54ページを参照)
夜目にもパリの街に映えるヴェリヴ。パリ市民の日常生活に溶け込んだ。

夜目にもパリの街に映えるヴェリヴ。パリ市民の日常生活に溶け込んだ。

  • さて、パリで今一番物議をかもしているのが、セーヌ川河畔にあった道路空間3.3Kmの、2016年9月から歩行者専用空間化を決定した、パリの女性市長だ。下の写真の自動車道路が歩行者空間になる!

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かつての道路の在り様が分かる。現在は車は一台も走らない。

かつての道路の在り様が分かる。現在は車は一台も走らない。

歩行者専用空間化にあたって、新たに植樹、芝生敷設等の工事が現在行われている。

歩行者専用空間化にあたって、現在新たに植樹、芝生敷設等の工事が現在行われている。

ここでも広報はきめ細かい。「セーヌ川岸を整備中です」を説明するパネル

ここでも広報はきめ細かい。「セーヌ川岸を整備中です」と説明するパネル

すでに2012年に、自動車道路から歩行者専用空間化された左岸の2.7Kmは、今ではジョガー、観光客、犬を連れた散歩市民などであふれ、河岸の壁には子供たちがロッククライミングを楽しんだり出来るコーナー、川辺には数え切れないバーやレストランとなった船が並ぶ。(「フランスの地方都市にはなぜシャッター通りが無いのか」48ページを参照)

  • 川岸だけでなく、パリ中でどんどん「歩行者空間」が早いスピードで増えている。ノートルダム寺院前の自動車道路も歩行者専用空間となり、今ではコンクリートブロックが置かれ、観光客の便利なベンチとなっている。
クルマの誤侵入防止、観光客の椅子を兼ねたコンクリートブロックも、周りの照明が良いので、野外アートのように見える。

クルマの誤侵入防止、観光客の椅子を兼ねたコンクリートブロックも、周りの照明が良いので、野外アートのように見える。

  • 私は今まで、フランスの地方都市における「都市交通政策には素晴らしいものがある」と語ってきたが、クルマが道路に溢れ、エレベーターもエスカレーターもない、パリの地下鉄を中心とする首都圏には触れてこなかった。しかしSTIFの運営が全面的にイルドフランス州政府を代表とする理事会にゆだねられてから、そして環境対策を優先させるパリ市長の政策とあいまって、ここ2年間のパリ市内及び首都圏における交通供給の素晴らしい変化には本当に驚く。こんなに人口や観光客が多い大都市でも、公共交通の再編成、道路空間の再配分は可能なのだ(タクシーは路線バスの専用レーンでの運行が許されている)。多くの意味でこれからの東京の参考になる例が多い。又、現在STIFは2025年をターゲットとして、パリ首都圏にあるいわゆる郊外の点と点を結ぶ公共交通ネットワーク(パリ市内を通過せずに)構築を意図している。http://www.gouvernement.fr/en/greater-paris-turning-promises-into-reality この資料で、交通政策が住居政策や雇用対策と同列に取り扱われていることが見て取れる。

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