- 皆さんは「ロリヨン」(LORIENT)というまちの名前を聞いたことがありますか?人口58000人の小都市で、フランス西部突端のブルターニュ地方の特徴であるケルト文化祭りが8月に開催されるのと、海老の水揚げ量がフランス一の漁港で有名です。先の大戦に爆撃を受けているので、まちには特徴はないが、2007年からBRTをいち早く導入したことで、交通政策では注目されました。現在では6から8分間隔でバスを走らせており、年間1600万のトリップがあります。
- 需要が多い都心の中心部の5Kmを専用レーンにして、それ以外はバスはクルマと道路を共有しながら運行されるので、厳密な意味で言えば、全線どころか70%は専用レーンというフランスのBRTの定義にも必ずしもはてはまらないし、信用乗車でもない。しかしこの5Kmの専用レーンは鮮やかなベージュ色でペイントされ、クルマ優先ではないことを大きくアッピールしている。
(ラウンドアバウトでは、クルマは迂回するが、バスは直進できるので、公共交通の優先性が確保されている)
- 乗客への運行情報提供が整備され、十字路では優先信号は配置されていないが、バスが絶対的な優先権(フランス語の「バスの往来にゆずってください」という大きなパネルをいたる処で提示。ドライバーは普通これを守る)が適用されている。ラッシュ時には2分間に一台という運行サービスも高く評価されている。そして初期投資3100万ユーロ(約42億円)のうちの1100万ユーロも景観整備にあてて、まちの中心部の風景を一新させたことも、フランスの国交省が多分LorientのバスサービスをBRTのカテゴリーの一つとして「自治体の身の丈にあったBRT導入例」と紹介していることの理由の一つだろう。
- フランスの他の中小都市と同じく、近隣の小都市25と広域自治体連合を形成して交通行政を行い、その20万人の人口に対して、21台の連接バス、91台のバス、1台のミニバスが、1000の駅(そのうち450駅には屋根付き停留所施設)の間を走行している。
- それにしてもこんな小さな自治体所帯でも、インターネットできっちりと交通当局のサイトがあり、バスマップのダウロードができて、たちどころに運行実態や経営に関する情報が読みやすい形で出て来るのにはいつも感心する。このBRTはトリスケル・Triskellとネーミングされており、これから延長工事の第二プロジェクトに入るが、一般市民用にビデオでその概要を紹介している。最後にきちんと4400万ユーロとコストを明示しているのもフランスらしい。http://triskell.lorient-agglo.fr/triskell-2017/recit-multimedia/
- 何度も言うようだが、都心人口5万人、経済人口20万人の都市で、これが出来ている。ちなみに、ちょっとフランス語らしくない音のケルト語Triskell(トリスケルと発音する。子音が多いのでフランス語らしく聞こえない)というのは、ケルト文明のシンボルの3本図〔下図〕を示すそうだ。(図はウイキペディアから引用)
- そして、視察でLorientに行かれたら、必ず隣のConcarneau市、海に浮かぶそれは美しい城壁都市を訪れてください。
今年もフランスの地方都市を一緒に旅しましょう。
[:]
0コメント