・2024年4月12日は、東京の経団連会館で、国際交通安全学会の2023年度研究調査報告会と、学会賞の贈呈式に参加させていただきました。https://www.iatss.or.jp/society_presentation/2023_ceremony.html 先生方のご発表内容はどれも大変興味深いもので、リンクをクリックしていただくと、動画とご発表資料をご覧になっていただけます。
・2023年度5月に出版した「フランスのウォーカブルシティ」が、著作部門の学会賞をいただき、受賞理由として過分なご評価文をいただきましたので、添付いたします。
IATSS 1 受賞の理由 クリックしてください
そして、何よりも嬉しかったのは候補作が38冊もあり、最終的には「フランスのウォーカブルシティ」の受賞が満場一致で決まりました、とお聞きしたことです。本を書くというのは大変地道な作業で、膨大な調査とその総括、執筆の時間が必要で、編集者のサポートがあるとはいえ結構孤独な仕事です。ですからこのように客観的に評価されるととても嬉しく、少しでも世の中のお役に立っているのかな、と安心します。「ストラスブールのまちづくり」が土木学会の出版文化賞をいただいて10年。どちらも全く思ってもみなかった賞で(私は両学会の会員でもない)、公共交通を導入したまちづくりから、広く、交通、住居、商業政策を包括した都市政策を述べた「フランスのウォーカブルシティ」まで、この10年間で私自身が、一緒にお仕事をさせていただいた先生方のおかげで、新しい道をたどってきました。
・また大変嬉しかったのは、長年外野から応援させて頂いてきた宇都宮LRTを2023年8月に整備された、宇都宮市、芳賀町、宇都宮ライトレール社との同時受賞だったことです。その気持ちは、4月12日の謝辞で表現していますので、下記に掲載させて頂きます。
授賞式の前日に訪れた宇都宮市のLRT。いつも暖かく迎えてくださる宇都宮ライトレール会社の中尾常務取締役はじめご案内いただいた皆様。
2014年に総勢10名以上の議員の先生方がストラスブール・ナンシーを視察され、それ以降、宇都宮市における合意形成ではLRT導入への理解を住民に進めるために活発な活動をされ、議会は事業完成に多大な貢献をされたと思います。いつもお世話になっている先生方で当時の視察メンバー。右・手前は現在の宇都宮議会の馬上議長、私、宇都宮市議会議員福田ちえ先生。左・宇都宮市議会議員船本先生、10年前のストラスブール視察当時の議長熊本先生、現在副議長の今井先生。
国際交通安全学会の会員の皆様、ご来席の皆様、
本日は著作部門の国際交通安全学会賞を承りまして、まことにありがとうございます。2022年度冬に国際交通安全学会のシンポジウムに参加させていただき、50年間の研究者の皆様の素晴らしい調査、研究内容に触れました。このような素晴らしい学会の名誉ある賞をいただきまして、感激いたしております。
都市計画と整合性のある交通計画というテーマで執筆を始めましたが400頁にもなり、出版社からは「モビリティ」と「都市計画」に分けて2冊出版しましょう、というご提案もありました。ただ日本ではそうなると「モビリティの方はモビリティの本しか買わないし、都市計画の方は都市計画だけ」とお聞きして、私としては是非とも両方面のお仕事に携わってられる方々にお読みいただきたかったので、分量を削り一冊にまとめました。本のタイトルも「モビリティ政策を包括した都市空間の再編成」を考えていたのですが、そのような題目では誰も購入して下さらない、という出版社のご意見で「フランスのウォーカブルシティ」という親しみやすいタイトルになり、皆様にご評価いただけまして大変嬉しく思います。
また、業績部門の受賞者となられました宇都宮市、宇都宮ライトレール会社と同じ年度に、著作部門での賞をいただいたこともとても嬉しく感じています。宇都宮市はこれから、商業、行政施設がある西側へのLRT延伸計画を企画されています。私の本のテーマでもある、公共交通が充実し、歩行者空間が整備された中心市街地の賑わいの姿を、前例として日本の地方都市に今後もお示しされることと思います。また宇都宮市LRT導入成功には、国の強力なサポート、市議会と行政の協働、首長の強いリーダーシップがあり、市民との合意形成も充実した形で施行されてきたとお聞きしています。拙著でも合意形成の項には頁を割いており、正に交通まちづくりとして、次世代に持続可能な都市の姿を残すべく、宇都宮市を始めとして、富山市など多くの日本の都市が、市民とともに新しいまちの姿を実現されていますことを心強く思います。
私がフランスで都市政策や交通計画のヒヤリングに行きますと、フランス人は「日本にはあんなに素晴らしい都市と公共交通があるのに、なぜフランスに学びに来るのですか?」と必ず聞かれます。人口増加のフランスと減少の日本では今後、必要とされる都市政策も異なります。しかし、同じようにクルマ社会、中央集権国家であるフランスの人口50万以下の多くの地方都市の中心市街地は賑わっています。私の本ではデジタルテクノロジーを活用した新しい都市マネジメントの在り方などにも言及しており、日本における今後のまちづくりの少しでもご参考になれば光栄です。本日はありがとうございました。
国際交通安全学会事務局の廣谷さんと。大変お世話になりました!!ありがとうございました。
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