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「運輸と経済」9月号 フランスの上下分離

11 09 2021 | Management 上下分離, Publications 寄稿記事

  • 実は毎月の「運輸と経済」のテーマを、あらかじめ知らされているわけではないのですが、今月は「地方都市を支える鉄道」というテーマに近く、「フランスの都市公共交通を支える上下分離の仕組み」について書きました。運行ガバナンスの多様な形、契約の内容、自治体と運行オペレーターの関係など、政策主体側からの視点も含めて、フランスの現状を紹介しています。

 

・日本では、路面電車整備での上下分離方式は、2007年の「地域公共交通活性化再生法」の施行により導入が認められました。2009年に整備された富山市内の路面電車の環状線は、富山市が整備後もインフラ施設の保有主体となる上下分離方式となりましたが、同じ時期にLRT導入を企画していた堺市にはこの法律は活かされませんでした。

・フランスでは、競争入札で事業権を獲得した運行業者が、定められた期間の公共交通運営を担います。自治体が自らの財源でインフラを整備・保有し、運行事業者にメンテナンスと運行を委託する形で、日本の公設型上下分離方式に近い、と思います。ただし、自治体が常に公共交通の政策主体であるフランスでは上下分離という表現を使わず、公共サービスの委託と表現します。

・4月号からコロナ下でもフランスの都市内交通が守られてきた実態を紹介してきましたが、9月号では具体的に政策主体である自治体と、実際の運行を担当する運行オペレーターとの契約内容を分析しました。人口30万人の地方都市の実例を述べていますので、日本の地方都市に少しでも参考になれば、と願っています。

 

整備士の働きやすい労働環境を考慮した、運行オペレーターの車両倉庫(ストラスブールCTSメンテナンス工場)

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