- 4月28日午後にストラスブール市のLRT/D線の、ライン河をはさんだ対岸のドイツのケール市まで延長運転の開通式があり、翌日29日の午前4時30分から10分に1本の平常運転が始まりました。沿線の模様を、現地で延長線運行のトラムに一番乗りされた堀切邦生氏の素晴らしい写真と共に、ご紹介します。
5月7日にフランス大統領決選投票を控えたフランスは、何処でも、誰とでも、何時でも、この話題でもちきりで、マクロン氏候補と対立する極右戦線のルペン女史は、フランスがEU機構やユーロからの脱皮する政策を挙げている。そういうタイミングで、EUの牽引役国であるドイツとフランスを繋ぐLRTが開通したわけだが、開通式典にはメルケル首相の側近であるアルトマイヤー氏が出席したが、オランダ大統領の姿はなかった。
- 3月にケール市を訪れた時には、まだ駅前は工事真っ只中という景観であった。https://www.fujii.fr/?p=4991&lang=ja 結局、そのままの雰囲気で(つまり工事はまだ完全に終了していないけれど、予定通りLRT運行を開始したわけだ)、4月29日を迎えたようだ。
- ストラスブール市長のリス氏は「国境に壁を造りたい政治家がいるようだが、我々はドイツの間に橋を架けた」と語った。
1896年にはすでに路面電車がライン河を渡って、ストラスブールとドイツを結んでいたが、1945年に廃止された。しかし、現在では2万人くらいのストラスブールに住むフランス人が、実はドイツ側で勤務している。バスが二国間を運行していたが、時間帯によっては飽和状態で夜間の運行もなく、又既存の橋は自動車による渋滞が激しかったので、新しいLRTは国境を越える就労者たちには朗報だ。
- リス市長がフィガロ誌に4月29日に語ったおおまかな数字だが、全長2.7Kmのストラスブール河からケール市までの延伸工事は全体で、9660万ユーロ(約115億円.1ユーロ120円として)かかり、そのうち7040万ユーロをストラスブール広域自治体連合(人口48万人)が、2620万ユーロをケール市(人口34600人)側が負担した。EU機構からも325万ユーロの補助があった。
- 橋はライン河と、ライン河の運河とに2本新しく架橋された。上の頁で詳しく説明している。https://www.fujii.fr/?p=4779&lang=ja。ストラスブール広域自治体連合の公式HP発表によると、ライン河の新しい橋は275mで、2430万ユーロ(税前・約29億円)、ライン河の運河にかけられた160mの橋のコストは1000万ユーロ(約12億円)と発表されている。
現地で5月初旬にLRTに試乗された西田敬氏によると、LRT延長線は運河に架けられた新しい橋を渡った地点で整備された新駅STRARCOOPには停まらず、ライン河岸駅(PORT DU RHIN)とケール鉄道駅(Kehl-Banhnhof)にのみ現時点では止まるそうだ(駅から市の中心広場までの2駅区間はこれから工事にかかる)。4月29日の普通運転開通にちなんでいろいろなイベントが行われたのは、このPORT DU RHIN駅付近であった。(続く)
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