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静岡シンポジウムレポート 3「パネルディスカッションで考えたこと」

09 09 2012 | Actualités ブログ記事, Concertation 合意形成, Conférences 講演, Debate 講演会での質疑応答, Shizuoka 静岡市, Tramway-路面電車, Urban Planning まちづくり

  • 静岡市パネルディスカッションで考えたこと

シンポジウムのパネルディスカッションではテーマが4つあったが、私の発言したフランスの交通税のシステムの話題から、「なぜ公共交通に公金を投与せねばならないか」の議論につながり、久保田先生からは『日本で公共交通への税金利用が遅れた理由』についての非常に分かりやすいご説明があった。いずれ静岡市が、全員の発言をまとめた記録をWEBに掲載されるだろうから、ここでは当方の発言を中心に討論内容をご紹介したい。

1)      公共交通の必要性について

欧州各都市には「公共交通がまちを創っている」、という意識があります。公共交通は自然保全と住環境改良との組み合わせセットになっている。

なぜかというと、都心への公共交通導入は 、『交通渋滞問題』を解決するだけでなく、 『環境保全』に役立ち、 買い物難民などの交通弱者への対策として『社会問題』 にも対応できます。

しかも、バスサービスの充実化などと並行してトラムを導入すれば、地表全体の利用の仕方の見直しにつながります。 ですから、ヨーロッパでは 『地方都市の都心活性化やまちの再整備の必要性』に、一番マッチする公共交通として、まちづくりのツールとしてトラムの導入が盛んです。

つまり、交通がまちづくりにおいて果たす役割を、共有知として市民が認識している。(この点に関しては、山本副市長がこの後のコメントで、鹿児島市で芝生軌道を導入した折、「路面電車が鹿児島市のまちづくりに果たしている意味合いを、市民が再確認したことが最も大きい効果だった」、と述べられた)

また、特にフランスでは公共交通は法律が国民に保障する社会的基本権の一つとしてとらえられています。安全に安く移動できる基本的権利をすべての住民に確保するために、採算性を度外視して公金で赤字を補填して、行政は公共交通サービスを住民に保障しています。また公共交通導入のための地方自治体の直接財源となる、交通税も企業に課税されています。公共交通を赤字経営して、税金の無駄遣いだという批評や見直し論は聞かないので、これはフランスの社会が容認している、ひとつのコンセンサスに基づいていると考えてもいいと思います。一口にいえば、『税金をどのように使うか、という国の社会哲学』の問題に行きつくのではないでしょうか。

シンポジウム後も議論が続きました。

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