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  • 2013年 3月 19日 沖縄県庁企画部交通政策課主催のシンポジウム「鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入に向けて」での第一の基調講演、富川・沖縄国際大学教授のお話は、時間の都合でお聞きできませんでしたが、土井・京都大学大学院教授の第二基調講演 『沖縄県に必要な交通とまちづくり』の抜粋をご紹介します。

「 」内は先生のご発言。尚、文中のパワーポイントのスライドは土井先生から許可を頂いて上での掲載です。

1.このままいくと・2.モータリゼーションの終焉 ・3.交通とまちづくり

土井先生はまず「このまま行くと、沖縄はどうなるか?」というテーマで、沖縄の混雑する交通状況が何らかの解決策を必要としている現状を、データで説明されました。

「本土でも若い人を中心にクルマを使わなくなってきており、これからは過度にクルマに依存しないまちづくりを模索する必要がある。その時に先導的なプロジェクト(リーディングプロジェクトという土井先生の表現)では、「まちがどんどん変わってゆくというイメージを与えるまちづくり」を進める必要がある。地域の実情をふまえて、各交通手段を適切に組み合わせた『まちづくり』としての取り組みが必要で、『動きやすさ・モビリティー』を追求する。そして『総合交通政策』の必要性」を強調されました。

4.沖縄に必要な交通とまちづくり   スライド 土井勉教授

「鉄軌道には『速達性』が求められるが、『駅』も重要なファクターで、鉄道沿いの所在地には年を取ってからも住めるということを考えておく。そして、駅からフィーダー(枝葉)的に各種の交通機能を揃えばよい。但し駅をただ作れば良いというものではなく、その駅に行く理由=まちのポテンシャルを作らなければならない。『駅』というのは、まさに地域の人がいかにまちを作ってゆくかという応用問題の一つである。」

スライド・土井勉教授

「どういう機能のために、どういうシステムが必要か?を考える。」と参加者に問いかけられ、さらに県庁の地下高速鉄道案の説明を受けて、「今地下鉄道の案も出ているが、『なぜ地下なのか?』をもう一度問いたい。」と踏み込まれました。

「いっそクルマ車線を減らすといういう発想の転換、道路を減らす勇気を持ってはどうか?ということも選択施の一つに入れる。道路車線を減らして、その上で必要な鉄道と軌道を入れてみる。『要るものはいる』という決意で。大切なことは『機を逃さない』。今、沖縄は千載一遇のチャンス。自動車社会からの転換をどこでするか、という議論を始めてはどうか?」という力強いご提案でした。

スライド・土井勉教授

そして、その際にこれから大切なのは『合意形成』のプロセスであることも、強調されました。「女性を味方につけることも大切。『鉄道が通るとどんなに生活が楽になるか』『交通そのものがライフスタイルを変えてゆく』をアッピールすることが必要。これらがあいまって、鉄軌道導入事業を進める力の一つになります。」

この後に続いたシンポジウムのパネルディスカッションでは、「鉄道が出来ることによって、かえって沖縄の一地点への一極集中が進むかもしれない」可能性についての言及もあり、その懸念に対しては、ストロー効果も考えるという先生のご指摘。

東・沖縄ツーリスト社長のご発言の「沖縄のまちは戦後とりあえず作ったまちである。だからそれを従来の『琉球のまち』にしなければならない。」という言葉の重さを、沖縄に住む者として考える機会にもなったシンポジウムでした。

パネリスト左から・  京都大学大学院教授・土井氏。交通安全環境研究所理事・水間氏。沖縄ツーリスト株式会社社長・東氏。  まちづくり事務所 APOLLO代表・由利氏。

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