ページを選択

阿部・ライトレール社長のお話と沖縄バス事情

  • 次に、阿部氏が「沖縄でのLRT実現方策の提案」と題して講演されました。阿部氏とは初対面ですが、沖縄には何度が来られているとのこと。以下、阿部氏自身の文章から。

「LRTは,自動車と比べて空間利用の効率性が圧倒的に高く,他に,エネルギー利用・環境負荷・交通事故・運転できない人の移動制約・中心市街地衰退といった点からも,沖縄の交通体系を自動車頼りとせず鉄軌道を導入すべきである.

 東京をはじめ地下鉄を導入した世界の大都市では,モノの運搬が地上と高架を占め,ヒトの移動が地下となっており,本来の姿とは逆である.また,用地費を除く複線km当り事業費は地下鉄250億円に対しLRTは30億円であり,同じ事業費を投じてLRTは地下鉄の8倍のネットワークを構築できる.

 LRTを実現する根幹は「移動時間の短縮」であり,出発地から最寄り駅・待ち時間・乗車時間・最寄り駅から目的地の4つの時間トータルを短縮することが重要である.その要諦は高速走行・高頻度運行・フィーダー輸送の充実の3点である.

 高速走行は,鉄輪式リニアによる最高速度の向上,列車ダイヤと道路交通信号のシンクロによる交差点停車の最小化,主要駅に待避線を設けた急行運転により実現する.高頻度運行は,富山ライトレール成功の肝だった。

フィーダー輸送の充実は,LRT駅を核としたバスまたは乗合タクシーの運行により実現する.その際,物理的・時間的・経済的バリアを最小化する.バス・タクシーの雇用は沖縄の全世帯の約50分の1を占めると推計され,それはフィーダー輸送の充実により維持できる.現状と同じ労働力で高い交通利便性を実現することとなり,社会の繁栄の基礎条件となる.

①地下鉄を持つことが先進都市の証し,②お洒落な超低床車両こそLRT,③運転士の免許制度を徹底的に厳しく,④安い運賃こそが庶民の味方,⑤LRTは赤字事業といった固定観念からの解放が時代を拓く.」(引用終わり)

  • 沖縄バス事情・ バスの定時性、速達性、運行頻度などの観点からみると、沖縄のバスの利便性は決して高いとはいえないのが実情だ。まずバス会社が4社あり、県外からの来訪者にはバス利用そのものが困難である。居住者にとっても、路線図、時間表さえも提示されていないバス停留所が多い、雨よけやベンチがバス停に殆どない、激しい交通渋滞により30分の遅れも決して稀ではないこと、空港から出発する高速バス(県の北部行き)の最終が18時15分発である等から、結局沖縄でのタクシーの存在はかなり重宝されている。

沖縄では生活圏のバスよりは、本土からの団体観光客を乗せる観光バスのほうが圧倒的に目に付く。だからLRT導入の議論以前に、まず沖縄では「バス」という公共交通の利用から慣れていくことが肝要だと、私は常々思っている。

2012年12月8日                       うるま市LRTセミナー・シンポジウムにて

カテゴリー

0コメント

コメントを提出

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です