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コロナ下での欧日移動  (欧=>日編)

29 11 2020 | Actualités ブログ記事, Milano ミラノ

  • この秋にミラノ―大阪を移動しました。現時点ロックダウン中の欧州で、たとえばミラノ市民はミラノ市から移動不可(仕事上のモティーフがある時は可能)。フランスでは自宅から20Km以上は移動禁止、などの細かい制限のある中、遠い日本まで無事に往復旅行ができました。(私がミラノを出た時は、まだイタリアではロックダウンはなかった)。これから移動する必要のある人達へのご参考までに、この特殊な状況下における旅の様子を記録します。ただし、このレポートは2020年11月のもので、今後規制内容も変化することが予想されます。
  • イタリア―日本の直行便はないため、私の旅程はミラノ―パリ―関西空港。ミラノ・マルペンサ空港も人が少なかったが、深夜に近い時刻に乗り換えを行ったパリのCDG空港はさらに人が少なく、店舗もほとんどが閉店でした。

深夜に近いパリCDG空港であったせいか、極端に人が少なかった。この時、フランスではすでに夜の外出規制が発令されていた。

CDG空港のPCR検査コーナー。なお、日本のパスポートを持つ者は、陰性証明書無しにAF機に搭乗できるが、日本人以外は陰性証明書を提示する必要がある。また9月1日以降は、外国人で日本における在留資格保持者の再入国が認められている(一方、フランスやイタリアでは、春のロックダウン時にも、在留資格のある日本人の再入国はすでに認めていた)。日本人の家族である外国人も、在外日本領事館の発行する入国ビザがあれば、日本に入国できる。搭乗前にAFのスタッフが丁寧に書類をチェックしていた。

アジアに向かう便に搭乗するアジア人の団体。勿論、旅行客のすべてがこのような出で立ちではない。

  • 搭乗客は機内アナウンスによると60人であったが、機体はいつも通り大型。物流のビジネスが続行しているので、旅客は少なくても、まだ週2回、関空―パリを運行(成田―パリも週2便)。機内サービスは人との交流機会を減らすために通常よりはシンプルではあるが、夕食(いつも通り食前酒も)と朝食のサービスがある。さて、大阪着。

関空に着いたのは午後6時くらいであったが、深夜のパリ以上に人が少ない。到着フロアーではコンビニ一店舗以外は、すべての店舗は閉まっていた。通常はバスやタクシーが並んでいる空港出口付近も、到着客以外は人っ子一人も見当たらない。迎えに来てもらった友人の姿を見て心強くも、またとても嬉しかった。

  • ここからの到着客に対するPCR検査は本当に効率的に行われ、かつ職員の態度も丁寧で大変感心した。コロナ禍の初期(この春)には、PCR検査の結果が出るまで空港内で段ボールベッドで2夜を明かす旅行客の写真がSNSに出回り、海外に住む日本人たちを震撼させたが、この9月から唾液検査が導入されて以来、検査結果は早ければ30分くらいで出るようになった。我々は、やはり内心『陽性反応が出て、2週間の指定病院やホテルでの隔離になるとどうしよう』という不安を抱えているわけだが、職員の説明、案内は非常に的確、親切だと感じた。

具体的には検査は、このチャートの通りスムーズに運ぶ

検査結果を待つラウンジ。結果が出ると、自分の検査番号がパネルに表示される

関空の場合だと大阪府庁検疫所から、LINEを通じて健康状態を伺う連絡が入る。筆者はLINEを利用しているが、しかし係官から「海外の携帯にダウンロードされたLINEには連絡できない」と言われ、代わりに実家の固定電話番号を伝えた。

  • 陰性証明書を手にして、荷物を受け取る。空港への到着便の数にもよるだろうが、私の場合、飛行機が着陸してから1時間30分で空港から出ることが出来た。空港からの出発はどのような手段か、との質問はあるが、実際に係員が出発するまで見守ることはない。極端な話、そのまま公共交通を利用して移動することも可能だろうが、大きな荷物を抱えて関空から公共交通手段に乗り込むのは、やはり時節柄なかなか出来ることではないと想像する。 しかし、東京や大阪に実家がありそこで自主隔離できる者は良いが、それ以外の土地に帰る者は、高額な代金を支払ってハイヤーで帰宅、或いは日本の運転免許書がある者はレンタカーで、または家族友人が迎えに来る、という手段しか残されていない。それらが不可能であれば、空港付近のホテルで自費で2週間の自主隔離となる。パリ在住の作家、辻仁成氏が2週間東京のホテルの一室で自主隔離された折のレポートを読むと、いかにそれが大変なことか想像がつきます。https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-982/

スーツケースはこのように、きちんと整理され持ち主を待っている。

  • 結局、検疫所からは二週間の自主隔離の間に、3回電話がかかってきた。東京では自動音声のようだが、大阪では係員がこちらの体調などを確認して、必ず「不要不急の外出は控えられて、お大事になさってください。」という言葉で締めくくる。自主隔離はあくまでも要請であり、義務ではない。そのせいかどうかは分からないが、係員の口調は決して高圧的ではなく、むしろこちらの旅の緊張を解くような話し方だ。このあたり、マスク不着用で罰金、という政策を取らざるを得ない欧州各国と、自主的に公衆衛生の規則を遵守する(多分)日本人の国民性との違いかもしれない。

 

  • また、菅政権は「人類がコロナに打ち勝った証」としてオリンピックを開催すると宣言している。1万人を超える選手たちには、2週間の自主隔離の免除や公共交通の利用許可も検討中と報道されている。この11月に東京で体操の国際交流大会を実施した。その際には、選手たち全員に2週間の自主隔離を課し、毎日PCR検査を行ったようだが、同じことをオリンピックで実施するのは困難だろう。12月2日の発表では、政府は来夏の東京五輪・パラリンピックでは、ワクチン接種(欧米ではこの12月からもワクチン接種を開始する予定)は入国時の条件にはせず、交通機関の利用にも制限をかけず外国人一般観光客も受け入れるそうだ(大規模な外国人客の受け入れ、とあるので一般人も含むのだろう。しかしビザ取得が必要なようなので、まだ渡日の敷居は高い)。ビザ(査証)と入場チケット、移動情報の記録を連携させるスマートフォン向けのアプリの導入を促し、移動の自由と感染対策の両立を目指す、と報道されている。二週間の自主隔離の水際対策が緩和されるのは、在外に住む日本人としては嬉しいが、しかし、スマホのアプリなどの措置だけで感染予防対策が十分かどうか、日本国民の不安は残るだろう。(青字は日経新聞の報道より)

 

  • ひとけのいない空港景観は悲しい。年々、国際交流や国境を越えた移動がたやすくなるのを見てきて(昔はLCCもPCもなかった)、その結果を享受してきた者としては、まさか、こんな時代が来るとは思わなかった。では、次に日本から欧州への帰路便の様子を紹介する。

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