- ロール社のゴムタイヤLRTは、フランス国内ではクレルモンフェラン市とパリ市で走行している。
「トランスロール」の商品名で呼ばれており、ロール・インダストリーが開発したゴムタイヤ方式で、ボンバルディエのシステムと異なり、1つのレールに2個の車輪で案内軌条をV字型に挟み込む
上図・三井物産プラントシステム株式会社発行のパンフレット「TRANSLOHR」3頁より
- クレルモンフェラン市では、すでに1996年に鉄軌道トラム導入の計画があったが、交通税支払いに反対した商工会議所などの強硬な反対で、まとまらなかった経由がある。クレルモンフェラン市にはフランスを代表するタイヤメーカー・ミシュランの本社があり、地域全体の経済はミシュランを抜きして語れない。2002年に新たに入札が行われた時には、「タイヤトラムに限る」という条件をつけたために、応札社は、ボンバルディエのTVR【参考・https://www.fujii.fr/?p=3363】 と、当時のフィリアス【参考・https://www.fujii.fr/?p=330814Km 】であったが、この時点ですでにそれぞれのシステムの欠陥は公になっていた。
- その結果、必然的に選ばれたのはトランスロール社のLRTで、開通は2006年。 31駅、14Kmを走り、1日に平均4万トリップがあり、車中心でLRTに懐疑的であった都市としてはLRT導入は大きな成功を収めた。他の都市と同じく特にまちの中心広場を初めとして沿線の景観整備も大胆に行い、トラムもその暖かい色合いとともにまちの景観の一部として広く市民に受け入れられていると言える2006年のLRT開通時の市役所発行のパンフレットより・『トラムがやってきた!』
- 実はタイヤトラムを製造していロール社は、写真上のようなトラック用のトレーラー車製造会社で、ストラスブール市の南に本社工場がある。
上図・2006年のLRT開通時の市役所発行のパンフレットより
こういう交通プランの作り方は、フランスは非常に上手い。よく見ると赤の下にクレルモン・フェラン市街地の全地図が読み取れる。
2006年のクレルモンフェラン市での開通後は、2007年にイタリアのパドヴァ、2009年に中国の上海、2013年にフランスのパリ「T5」(5号線)と、トランスロール社のタイヤトラム開通が続いている。
ここまで「連接バス」「BRT」「タイヤトラム」と幾つかのタイプの専用軌道を持つ都市域内交通をLRTと比較しつつ見てきたが、次に、トラムトレインと呼ばれる「LRTと鉄道」をコンビネーションさせたタイプの輸送手段を述べる(続)
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