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「運輸と経済」11月号 BRTかLRTか?フランスは、どのように導入都市交通手段を選択してきたか?

30 11 2021 | Bus BRT バス, LRT, Publications 寄稿記事

  • ―専用軌道都市公共交通LRT、BRTの整備 及び運用コストと路線バスのヴァージョンアップ―
  • 4月から、コロナ下におけるフランスの公共交通(都市内交通を中心として)のレポートを書いてきましたが、11月は今までフランスがどのようにそれぞれの都市に導入する交通手段を選択してきたか、をまとめました。2021年6月時点でフランスの31都市でLRTが走行し、一方人口10万人前後の都市を中心として41都市でBRTが導入されています。

 

  • 公共交通(地下鉄,LRT,BRT)導入の整備コストを比較して、特にLRTに関してはアンジェ市で現在進行中のB線の工費の内容を紹介しました。日本とは工費の内訳の方法が異なりますが、1Kmあたりの工費が25億円前後と言われているその詳細な内容を見ていただき、なぜ日本では工費が割高になっているのか、少しでもご参考になればと思います。

  • 特に、人口15万以上の主だった都市でLRTが導入されたフランスでは、近年はBRTの導入が盛んで、またすでにLRTが導入されている都市でもBRTの併用も進んでいます(ストラスブール、リヨン、マルセイユ、ナントなど)。

2020年に導入されたナント市の電気エネルギーBRT「e-Busway」. 車体の上にバッテリーが見える

  • また、ブザンソンのように23mのLRTを導入した整備コストと、メッスのように24.5mのBRTを導入したコストには余り差がみられなくり、LRTとBRTの差が少なくなってきたとも言えます。メッス市ではBRT導入にあたり、大幅な都市景観の見直しを行ったため、Km当たりの整備コストは13,000ユーロ(1億6900万円)でした。これは大規模な都市空間再編成を行わず、またスタンダードな車両を購入したブザンソンのLRT導入コスト18,000ユーロ (約2億3400万円)と余り変わりません。

 

  • それでは自治体は何を基準にして、導入する公共交通手段(既存の路線バスのヴァージョンアップも含めて)を決めてきたのか?乗客数と車両収容能力から算出した運行頻度表において、フランスの運行業者が最適化運行頻度とみなしている表提示も参考になると思います。公共交通が都市に何をもたらすか?という観点からの期待によって、地方政治家たちは導入手段を決断してきました。整備や運営コストと共に、都市景観にどのように公共交通を組み込むか、プロジェクトそのもののイメージや、またその環境へのインパクトが判断基準となっています。

 

  • 最後は、フランスの代表的な地方都市(メトロポールと都市圏共同体)を訪問した私の若干私的な意見も述べました。「筆者はフランス各地を視察して、やはりLRTが都市にもたらす潜在的な活性化効果、景観改善のベネフィットは図りしれないと感じる。勿論メッスのようにBRT導入と共に徹底した都市景観の再整備を行った自治体もあり、路線バスが都市の顔、シンボルマークとして走行している小都市の景観も素晴らしい。しかしLRT導入都市の方が、おしなべて思い切った都市景観の再整備を遂行している。それは正にLRTの専用路線敷設が、街の道路空間から自動車を排除するからだろう。」これから12月号から3月号まで、モビリティを包括した都市空間再編成をテーマに書いていこうと思います。

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