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  • ここでは、講演の後に行われたパネルディスカッションでの出席者のご意見を、臨場感を再現するために、順を追ってご紹介します。やはり堺市でも公共交通導入の財源確保が大きな話題の一つになりました。まずは、サミット実行委員会事務局長、福井氏のお言葉から。

福井氏(NPO法人RACDA大阪堺理事長)

堺市は昔から自由都市と言われています。「まちを作り上げるのは市民」と自覚して、   「まちを良くしたい」気持ちで、阪堺電車活性化を軸にして活動しています。全国路面電車サミットが始まって20年がたちましたが、ここにきてようやく、まちづくりに対する市民の意識が熟してきて、市民がまちづくりに関心を抱き始めたと感じています。これからも、この会を広めてゆきたいと願っています。

  • 公共交通の採算性

塚本教授(大阪産業大学・パネルディスカッションのコーディーネーター)からのご質問

「公共交通の赤字には、限界があるのでしょうか?どのくらいまでなら赤字は許されるのでしょうか?」

指名された宇都宮教授(関西大学)のご回答は、明快、理路整然として非常に分かりやすいご説明でした。

「公共交通の赤字には限界はありません。道路は社会資本とみなされ、道路建設整備に投資したお金は返還する必要なしとみなされています。一方、日本では公共交通への投資コストとしての借金に対しては、当初の5年間は補助して「6年目からは黒字にしなさい」と指導して借金返済を促すのが従来の方法でした。しかし、世界の潮流をみても、公共交通の運営を運賃だけでまかなえると思っている国は少ない。メンテナンスや事故保険でコストがかかる、駅やビルのエレベーターという乗り物に、それを使用する市民は運賃を払っていません。それは、駅やビルの魅力保持の一つの要素として、コスト負担が当然と考えられているからです。公共交通にもこういった考えは当てはまるのではないでしょうか?

塚本教授 「フランスでは、公共交通の独立採算制は要求されていないようですが?」

ヴァンソン藤井

「国民が安全に安く移動できる権利を保障する『交通権』は、法律が国民に保障する社会的基本権の一つとしてとらえられています。そしてその交通権の保障につながる投資(公共交通)に対して公金を投入することに、国民のコンセンサスがあります。多分、一般の市民は、『交通権』や『交通税』という言葉は知らない人も多いでしょう。 しかし、19.6%の消費税や、富裕税のあるフランスでは、『富の再分配』という、財源があるところから、できるだけ多く資金を持ってきて、市民に平等に分配するという社会哲学があります。」

塚本教授「堺市の市民もそういってくれると、行政も仕事がしやすいと思うのですが」

島田局長(堺市建築都市局長)

「公共交通に対する税の投与に関しては、議会でも討論がありました。このたび、10年間で50億円の投資を決定しました。この投資する費用対便益の検証を、塚本先生や福井氏と一緒に行政も進めてきたのですが、今後も市民と一緒に、きっちりと話し合い合ってゆきます。その積み重ねが、今後の公金による公共交通支援への理解につながってゆくと思います。


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