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  • 続いて、別途書式で受けた質問を取り上げます。

質問① LRT導入後の交通事故などの発生状況はどのようなものでしょうか?自動車があふれた頃よりは変化があったと思います。日本では、高齢者が被害者となる事故が多発していますが、ストラスブールではどうでしょうか?また、LRTによる事故などもあると思いますが、死亡事故などもあるのでしょうか?同時に、事故防止策も講じられていると思います。

事故については拙著でもまたこのブログでも述べていますが、今年秋に市役所からヒヤリングした最新の情報をお伝えします。

  • フランス全体【2011年】

・フランス全体事故数 1758 (10000Km に対して0.35(ただしトラム車両内での乗客の転倒や脱線事故等も含む)

・負傷者 940名 (この内409名が車両内での転倒 ・転倒者の78%が急ブレーキが原因)

・重大事故42、死亡事故2 下の図を見ると、トラムとの衝突案件は自動車が圧倒的に多いが、負傷者はトラムと衝突する歩行者が多いことが読み取れる。

  • ストラスブールでの1年間の事故数【2012年】
事故数 160 (車両の中での転倒込み)/急ブレーキを踏んだ時は、運転手は『ダメージを受けた方はお知らせください』とアナウンスする必要がある。必ず5から6人、手があがるそうだ。そういう人数も事故件数のカウントに入っている。
トラムと外部の交通機関との接触事故は全事故数の40%を占める。
LRT運行10000Kmごと運行に対して事故件数0.28 (ストラスブール市のLRTの年間走行距離5.400.000Km) この事故件数はバス運行の3分の1。 又ストラスブール市の事故件数はフランスで一番低い。
新路線の場合は0.45。運転手と市民の双方が慣れて、トラムとの共存が進むと事故数が減少してくる。
1年に1件・重大事故・【重大事故の定義=24時間入院
1年に1件・物体【トラック】との重大接触事故 ・それ以外は車との衝突

(写真上・これだけの至近距離で自転車と歩行者がトラムと共存する中での、事故数としては・・・)

  • 道路が話題なので、フランスのバリヤフリー法についても触れたい。実はLRT低床車両のバリヤフリーが日本では取り上げられるが、交通機関一般のバリヤフリー化は日本の方がずっと進んでいる。フランスに行った方なら経験されただろうが、パリの地下鉄にはほとんどエレベーターやエスカレーターが無いし、地方の鉄道の駅に行くと、「プラットフォームから階段で2階に上がって、線路をまたいで、また階段を下りて駅の外に出る」、というのがよくある構造で、まだまだエスカーレーターを装備した地方の駅は少ない。つまり、フランスは都市内交通のバリヤフリー化は進んでいるが(パリ地下鉄を除き)、都市間交通でのバリヤフリー化は非常に遅れている。これは、長距離移動は車を利用することが多いフランス人の生活様式を反映しているのだろう。しかし、フランスでもバリヤフリー法が出来た。
  • バリヤフリー法 Loi sur l’accessibilité
    2015年までにすべての公共構造物に対してアクセスフリーに
    •LRTでは2車両に1車両がバリヤフリーであったが、現在ではすべての車両に車椅子が乗る
    •バスにも車椅子スペースが2台分設けられるようになる
    •電停もすでにほとんどがバリアフリーである
    •しかし、現実には2015年にはすべては間に合わないので委員会で、最優先項目を決定して、工事に優先順位をつける必要がある
    •技術的課題としては簡易型電動型三輪車(右下写真・4から5000€。15から20000€かかる車椅子より安いために普及。300m以上歩けない人用)をどのように、LRT内で固定するか?が残っている。
質問② ストラスブールと日本(の各地)では、気候条件なども違うのですが、降雪や強風などによる稼働制限などはあるのでしょうか?また、降雪があったとき、どのような形で除雪がおこなわれているのでしょうか?
実はこの質問はこの9月に自治体国際文化研修所派遣団から、ストラスブール市役所でのヒヤリングでも行われ、市役所の回答を聞いて全員爆笑しました。「2から3cmの雪なら運行させるが、3cm以上は止める」が答えです。交通インフラが止まっても、歩いて移動できる距離を走るトラムだからこその回答でしょうか。これは労働に対する意識の違いもありますが、日本人のように悪天候を見越してホテルに宿泊してまで翌日の仕事に備える、というフランス人は自営業社長かよほどの社会的地位の高い人に限られます。ましてや会社のソファーで夜を過ごすなどは、フランス人の想像を超えるといっても過言ではない。だから「大雪の場合はトラムを止める」が、答えなのかもしれません。ちなみに、ストラスブールに10年間居住しまたが、トラムが走行できないほどの雪が降った日は2.3日。都心では雪は余り残らずすぐに溶けてしまうので、街中で除雪車を見たことがありません。
質問③ LRTは、路面電車などよりも「速くて静か」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?駅と駅の間隔などにもよるでしょうが、「加速時」「定速走行時」「減速時」などで、ほかの公共交通と比べて乗り心地や騒音はどうでしょうか?
とても静かです。乗り物自体も静かですし、それ以上に日本のように車掌とあらかじめ録音されたメッセージが2度同じアナウンスをするようなこともありません。駅の名前を告げるだけで、『携帯電話を切る』とか、その他いっさいの放送も無し。
平均時速は21Km。 日本の方は最高速度にこだわりますが、フランスの交通事業者は、「私たちにとって一番大事なファクターは最大速度じゃなくて、操業速度です。電停でとまっている時間も含めて、どれぐらいの速度でお客さんに運行を保証できるかというのがビジネスで一番大事なこと」と述べています。例えばパリの地下鉄の平均速度は21~22km/h、ストラスブールの平均速度は21.3Km。尚フランスの法律では軌道系輸送に対する速度制限はなく、あくまでも走行の安全の観点から営業速度が設定されるようになっています。つまり走行条件により、速度調整が可能で、運行する事業体や自治体への裁量が生かされています。
(写真上・ヨーロッパはゆっくりと船上生活を楽しむ人をよくみかける。ストラスブール市役所前の運河をゆく船)
質問④     だいたい1駅間の距離はどれぐらいになっているのでしょうか?
500mで歩いて次の駅に行ける間隔です。

 

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