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(2) アーバン・アトリエ 「どんなまちにしたい?」と市民に問いかける。

プロジェクトアトリエに対してもっと長期的な視野でまちづくりを語るのが、アーバンアトリエである。アーバンアトリエのパンフレット「今シーズンのアーバンアトリエのプログラムを見てください。都市のシルエット・どんなまちにしたい?」と、問いかけるパンフレット

できるだけ多くの住民を対象に、25年から30年先を見通したまちづくりを話し合う幅広い範囲の文化啓発プロジェクトである。住民参加による民主的な手続きを進めようとしても来る人は特定されてくることが多く、できるだけ不特定多数の参加を得るために、文化、スポーツを通して子連れの若い働き盛りの人々をターゲットにして、次の4つの項目で実施している。

公共空間の使い方

・まちのアイデンティティーの認識

・まちの歴史・文化的遺産の継承

・水及び自然環境の保全

具体的には運河でカヌーやカヤックの体験イベントを開催して水運の歴史を学ぶための講演会を開いたり、まちの歴史を題材とした映画を上映して歴史遺産の有効活用について話し合ったりなどの活動を実施している。まだ住民の自発的なまちづくりへの参加は難しくそのために市がイニシアティブをとって民意の参加を進めていく啓発の場であるとのことであった。

フランスでも自治体が企画するセミナーには「白髪〈年金生活者〉、白人男性、高学歴」プロフィールの市民に偏る傾向があるので、若い市民にもまちづくりに興味を持ってもらえるように、子供連れの家族が楽しく週末に参加できるプログラムを自治体が工夫している姿が印象に残った。

このようにストラスブール都市共同体では様々な、市民直接参加型の事前協議の場を設け、将来の都市計画の合意形成にその計画の初期段階から取り組んでいる。現在、5つの交通計画(BRT導入、LRT延長3路線、新たなLRT路線創設など)が進行中であるが、これらすべてにも徹底した情報開示と共に事前協議が行われているので、膨大な時間と努力が支払われている。又これら市民参加の協議会の内容報告書は必ず作成者の個人名(市役所のスタッフである)を明記して責任の所在地を明らかにして発表され、すべてのレポートは一般閲覧できる。法律で規定された合意形成のプロセスの一環である「公的審査」などの報告書は市議会でも発表される。「近接民主主義部局」に50人のスタッフがいるということもうなづける。ちなみに、ストラスブール都市共同体行政スタッフは約7000人おり、対象となる市民は475.000人。日本と比較するとかなり「大きな政府」でもある。

パブリックコンセルタシオン 最新のパンフレット 2013年4月から5月 「ストラスブール中央駅から北西部への新設LRT路線について意見を述べてください」と市民に問いかける。

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